高血圧の食事療法|医師がすすめる押さえるべきポイントと7つのコツ

監修者

【監修】谷田部 淳一

チーフメディカルディレクター・ 医師・医学博士

Healthy Meal

「血圧を下げるために食事の改善をしよう」
「食事療法からまずは始めたい」

高血圧を認識した方が最初に検討をする「食事療法」について本記事では

▼意識したい5つのポイント
▼押さえるべき7つのコツ

などをまとめてご紹介します。高血圧をしっかりとケアして健康な毎日を送るために、ぜひ最後までお読みください。

1.そもそも高血圧とは?

高血圧治療

高血圧とは、その名の通り血圧が高い状態のことです。日本高血圧学会では、診察室で計測した血圧が140/90 mmHg以上の場合を高血圧であるとしています。

1-1.高血圧の診断基準

厳密にいうと、高血圧の診断基準は診察室で測る場合と自宅で測る場合とで異なります。

診察室で計測するときの基準

自宅で計測するときの基準

140/90 mmHg以上

135/85 mmHg以上

自宅で測る場合は、診察室で測るときより収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)が5 mmHgずつ低い値を用いることが一般的です。

ただし、上記の血圧を一度でも超えたからといって高血圧とすぐに診断されるわけではありません。血圧は常に変動しているため、日をわけて測定した値を参考に判断します。

また、140/90 mmHg未満だから問題ないというわけでもありません。高血圧の基準を満たしていなくても心臓や脳に負担がかかっている場合もあるため、患者さんの状態に合わせた対応が必要です。

1-2.高血圧になる原因

高血圧になる原因には、次のようにさまざまなものがあります。

  • 塩分の摂りすぎ
  • 肥満
  • 遺伝
  • 加齢
  • 妊娠
  • 甲状腺疾患や腎疾患など

日本人でとくに問題となりやすいのが、塩分の摂りすぎです。「日本人の食事摂取基準」では、1日あたりの食塩摂取量を男性は7.5 g未満、女性は6.5 g未満とするように目標量が設定されています。

しかし厚生労働省が令和元年に行った調査によると、実際は男性で平均10.1 g、女性で平均9.3 gも摂取しているのが現状です。

このことから、食事療法を行う際はまず塩分の摂取量から見直す必要があるといえるでしょう。

1-3.まずは生活習慣を改めることが大切

診察室での血圧が140/90 mmHg以上になると高血圧と診断されますが、高値血圧と呼ばれる130~139/80~89 mmHgの状態でも生活習慣の見直しが必要になります。高血圧と診断されるほど血圧が高くなくても、心臓や脳に負担がかかるためです。

患者さんの疾患リスクなどにもよりますが、まずは生活習慣の見直しを1ヶ月以上行い、それでも血圧が下がらない場合は降圧薬を使った治療を検討します。すでに降圧薬を使っている場合も生活習慣の改善を行うことはとても大切です。

2.高血圧の食事療法で意識したい5つのこと


血圧を下げるためには、減塩をはじめ食生活の見直しを行うことが非常に大切です。具体的にどのようなことに気をつければよいのか、食事療法で意識したい5つのポイントについて紹介します。

2-1.塩分の摂取量を控える


食事療法の第一歩としてまず行いたいのが、減塩です。摂取量は1日あたり次の量を目標にしましょう。

 

男性

女性

高血圧ではない方

7.5 g未満

6.5 g未満

高血圧の方

6.0 g未満

6.0 g未満

すでに血圧が高い方は、1日6.0 g未満が目標量となります。1日の摂取量を3.8~5.1 gに抑えることで血圧が最大で12/6 mmHg低下したというデータもあるため、減塩は血圧を下げるのにとても効果的です。

参考までに、私たちが普段食べているものにどれくらいの塩分が含まれているのかを見てみましょう。

食品名塩分量

味噌汁(1杯)

約1.5 g

梅干し(1つ)

約2.2 g

うどん(1杯、スープを含む)

約5~6 g

ラーメン(1杯、スープを含む)

約6~7 g

あじの開き(1尾)

約1.4 g

味噌汁を1日に3杯飲み、ご飯に梅干しを1個添えるだけで塩分量は6.0 gを簡単に超えてしまいます。

自分がどれくらいの塩分を摂取しているかわからない方は、「あなたの塩分チェックシート」を使ってチェックしてみてください。合計点数が9点以上の場合は減塩対策が必要です。

2-2.野菜、果物を意識して食べる

野菜や果物には、カリウムが豊富に含まれています。カリウムには塩分を排出する働きがあることが特徴です。1日あたり3,000 mg以上を目標にカリウムを摂りましょう。

ただし、慢性腎臓病の方はカリウムの排泄機能が衰えており体内に蓄積しやすいため、摂りすぎには注意が必要です。どれくらいまでの量ならカリウムを摂ってもいいのか、担当医に相談のうえ摂取するようにしてください。

2-3.コレステロールの摂取を控える


LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の量が増えると、血液がドロドロになるため高い圧力をかけなければ血液が流れなくなります。

飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身やバター、インスタントラーメンなどはLDLコレステロールを上げる原因となるので控えましょう。

一方でHDLコレステロール(善玉コレステロール)には、血中の余分なコレステロールを回収する働きがあります。そのため、LDLコレステロールとは逆でHDLコレステロールは少なすぎることが問題です。

運動不足や喫煙がHDLコレステロールを下げる原因となるため、適度な運動や禁煙も心がけましょう。

2-4.適正なカロリー摂取を意識する


肥満は血圧を高くする原因の一つとして知られています。BMI25.0~29.9の方はBMI20の方と比べると、1.5~2.5倍も高血圧になるリスクが上がるのです。

4 kgの減量により4.5/3.2 mmHg下がるという研究データもあるため、BMI25以上の肥満の方はカロリー摂取量の見直しを行い体重を適正に保ちましょう。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日の推定エネルギー必要量(kcal)は次のようになっています。

男性女性

身体活動レベル

Ⅰ

Ⅱ

Ⅲ

Ⅰ

Ⅱ

Ⅲ

18~29歳

2,300

2,650

3,050

1,700

2,000

2,300

30~49歳

2,300

2,700

3,050

1,750

2,050

2,350

50~64歳

2,300

2,600

2,950

1,650

1,950

2,250

65~74歳

2,200

2,400

2,750

1,700

1,850

2,100

75歳以上

1,800

2,100

―

1,400

1,650

―

※身体活動レベルⅠはほとんど外出しない方、Ⅱは座位中心の生活だが買い物や家事などは行う方、Ⅲは活発な運動習慣をもっていたり、立ち仕事が中心だったりする方。

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医師監修|血圧を下げるのに役立つ飲み物一覧|降圧に必要な栄養素とは

2-5.アルコールの摂取を控える


飲酒量を控えるのも高血圧の対策に効果的です。減塩のように大きな効果は認められていませんが、飲酒制限を1~2週間続けることで3/2 mmHgほど血圧が下がることがわかっています。

これを大きな結果と見るか小さな結果と見るかは人それぞれです。しかし、アルコールは脳卒中や心房細動などの原因にもなります。健康のためにも節酒を心がけたいものです。

高血圧の管理を目的とする場合は、男性で1日にビール中瓶1本、女性でビール中瓶1/2本以下にするよう推奨されています。

3.高血圧の食事療法で押さえておきたい7つのポイント


高血圧対策の食事療法でもっとも基本となるのは、塩分の摂取量を減らすことです。とはいえ、塩分の摂りすぎはよくないと頭でわかってはいても、なかなか実践できない方も多いのではないでしょうか。

塩分の摂取量は、次に紹介する7つのポイントを押さえることで無理なく減らせます。

3-1.醤油やソースはかけずにつける

醤油やソースをかけて使っている方は、つけて食べるようにしましょう。かけるとついつい量が多くなり、塩分の摂取量も増えてしまいます。

必要な量だけつけるように習慣づけることで、必要以上に醤油やソースを使うことがなくなるでしょう。

3-2.香辛料や香味野菜をうまく活用する

料理をするときは、塩で味を出すのではなく香辛料や香味野菜をうまく活用して風味を引き出すようにしてみてください。

こしょうや七味、しょうがなどを使うことで風味を損なわず塩分量を減らすことができます。

3-3.味噌汁は具だくさんにして汁の量を減らす

味噌汁の塩分は、汁の部分に多く含まれています。できるだけ具の量を多くして汁の量を減らせば、必然と塩分量を減らすことが可能です。

ところで、減塩のために味噌汁を薄味で作るようにしている方もいるかと思います。ただし、いくら薄味にしても飲む量が多ければ塩分の摂取量は変わらないため注意してください。

3-4.新鮮な食材を選んで調理する

新鮮な食材には、食材そのもののうまみがしっかり残っています。食材の持ち味を利用することで濃い味つけにしなくても、うまみのきいた料理ができるため、できるだけ食材は新鮮なうちに使いましょう。

3-5.うまみ素材を使う

昆布やかつお、しいたけなどのうまみ成分を活用するのもおすすめです。うまみによって風味が出るため、塩分を使わなくても美味さが引き立つ料理が作れます。

3-6.麺類のスープは残す

麺類のスープには大量の塩分が含まれています。「ラーメンの汁は飲み干さず残そう」と言われたことがありませんか?

ラーメンのスープを残すだけでも塩分を約50%もカットできます。ラーメンは1杯で約6~7 gの塩分があるため食べないようにしている方もいるかもしれませんが、スープを残せば約3~3.5 gまで塩分量を減らすことが可能です。

3-7.減塩食品や減塩調味料を活用する

近頃では、減塩タイプの調味料や食品が多く見られるようになりました。醤油や味噌、焼き肉のタレやソースなど、日常で使う調味料の多くに減塩タイプのものがあります。

また、インスタントラーメンやお菓子でも減塩を意識した商品が普及してきました。普段使っている調味料や食品を変えるだけで塩分量を半分にすることもできますので、ぜひ活用してみてください。

4.高血圧の食事療法で積極的に摂りたい食品は?


高血圧の食事療法を行う場合、カリウムと食物繊維は積極的に摂りましょう。カリウムは塩分の排出を促し、食物繊維は悪玉コレステロールの吸収を抑える働きがあります。

4-1.カリウムが多い食品

食品名100g当たりのカリウム量

切り干し大根

3,500 mg

バナナ

1,300 mg

いちじく

840 mg

アボカド

590 mg

こまつな

500 mg

4-2.食物繊維が多い食品

食品名100g当たりの食物繊維量

乾燥しいたけ

46.7 g

乾燥おから

43.6 g

焼きのり

36.0 g

切り干し大根

21.3 g

小麦胚芽

14.3 g

5.高血圧の食事療法で控えたほうがいい食品は?

悩み
食事療法を行うにあたって、控えたほうがよい食品もあります。それが練り製品やハムなどの加工食品と、塩分の多い調味料です。意外と見逃しがちなので注意しましょう。

5-1.練り製品やハムなどの加工食品

練り製品やハムなどは、塩分量がそこまで多くないようなイメージがあるかもしれませんが、意外にも多くの塩分が含まれています。うっかり食べすぎないように気をつけましょう。

食品名100g当たりの塩分量

生ハム

5.6

ボンレスハム

2.8

蒸しかまぼこ

2.5

ちくわ

2.3

さつま揚げ

1.9

5-2.塩分の多い調味料

塩分が多く含まれているのはなにも「塩」だけではありません。以下の調味料にも多く含まれています。

調味料100g当たりの塩分量

醤油

21.2 g

オイスターソース

11.4 g

中濃ソース

5.8 g

ぽん酢

5.8 g

ケチャップ

3.1 g

6.食事療法+αで血圧を下げよう


血圧を下げるためには、食事療法に加えて運動や禁煙などを行うことも推奨されています。一度にすべてを始めるのは難しいかと思いますので、少しずつ習慣化して血圧が上がりにくい生活を送りましょう。

6-1.運動を行う

運動をすることで2~5/1~4 mmHgの血圧低下が期待できます。運動を行った後は22時間ほど血圧が下がった状態が続くため、定期的に行うことが大切です。

1回10分以上の運動を1日に合計40分以上行うことが推奨されています。有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせて行うと骨粗しょう症や腰痛の防止にも効果的です。

6-2.禁煙を心がける

たばこに含まれているニコチンは、血管を収縮させることで血圧を上げてしまいます。一時的な血圧上昇だけでなく、動脈硬化を起こしやすくなることもわかっているため、喫煙の習慣がある方は禁煙を心がけることが大切です。

運動療法に特化した詳細記事はこちら↓

高血圧の運動療法とは|方法や効果、注意点を医師が解説

7.血圧が気になるときは「高血圧イーメディカル」にご相談を

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7-2.「モニタリングプラン」なら安心して食事療法を続けられる

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計測データは医療スタッフにも共有されるため、必要に応じて治療の提案や食事療法、運動療法などのアドバイスも受けられます。

専門家のバックアップがある状態で毎日を過ごせるため、食事療法も苦なく続けることができるでしょう。

8.まとめ

血圧は食事の影響を大きく受けるため、食事療法によって血圧が下がりやすい生活を送ることが大切です。以下の5つのポイントを意識して普段の食事を摂るようにしましょう。

  • 塩分の摂取量を控える
  • 野菜や果物を意識して食べる
  • コレステロールの摂取を控える
  • 適正なカロリー摂取を意識する
  • アルコールの摂取を控える

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