「病院では高血圧だといわれるけど、自宅では正常値だから大丈夫だよね?」と思っていませんか?診察室では高血圧になるものの、それ以外の場所では正常値を示す状態を白衣高血圧と呼びます。
緊張して血圧が高くなったのだろうと思われる方が多いのですが、白衣高血圧を放置しておくことにはリスクが伴うので注意が必要です。今回は、白衣高血圧がどのようなものなのか、放置するとどういった危険性があるのかについて詳しく解説します。
目次
1.白衣高血圧とは
「診察のときだけ高血圧を指摘される」という方は少なくありません。自宅で血圧を測ると正常値を示すので、気にしていない方も多いでしょう。
1-1.高血圧の基準値
日本高血圧学会では診察室血圧が140/90 mmHg以上、家庭血圧が135/85 mmHg以上の場合を高血圧としています。高血圧の人口はとても多く、20歳以上の日本人のうち約2人に1人は高血圧です。
1-2.白衣高血圧は診察室でのみ血圧が高くなる
白衣高血圧とは、診察室で血圧を測定したときのみ、140/90 mmHg以上を超えてしまう状態のことです。自宅で測定しても非高血圧を示します。
実は、診察室血圧が140/90 mmHg以上の高血圧と診断された方のうち、約15~30%は白衣高血圧です。高齢になるほど白衣高血圧の割合は高くなります。
2.白衣高血圧を放置しておく危険性
「たまたま血圧が高かっただけだから大丈夫」「病院だといつも緊張して血圧が高くなる」と油断している方は注意しましょう。白衣高血圧は、血圧が偶然高かっただけで済むものではありません。
2-1.将来的に脳心血管病を起こすリスクが高い
白衣高血圧の方は、高血圧でない方と比べて将来的に脳心血管病を起こすリスクが高いことが分かっています。脳心血管病は、脳の血管の詰まりや破裂、心臓の血管の狭窄や詰まりなどが起こる病気のことです。
令和4年の死因の割合を見ると、心疾患が14.8%、脳血管疾患が6.8%となっています。2つを合計すると、約5人に1人は脳心血管病で亡くなっているのです。そのため、白衣高血圧の方は注意深く血圧管理を行わなければなりません。
2-2.持続性の高血圧に移行する恐れがある
白衣高血圧は、診察室でのみ高血圧の値を示すものです。しかし、放置しておくと、診察室以外でも高血圧となる持続性の高血圧に移行する可能性があります。
白衣高血圧の方128名を8年間追跡した調査では、128名中60名(46.9%)が家庭高血圧に移行したという結果が出ました。つまり、白衣高血圧は高血圧と無縁というわけではないのです。
3.高血圧になるとどのようなリスクがあるの?
「高血圧になってもとくに自覚症状が出ないのに何が問題なの?」と思われている方もいるでしょう。たしかに、高血圧になってもほとんどの方には自覚症状がありません。血圧がかなり高くなると、人によっては頭痛やめまい、肩こりなどが見られることがあります。
高血圧を完全に予防できれば、年間10万人以上もの方が死亡しなくて済むといわれているのをご存知でしょうか。実は、高血圧には命に関わる病気のリスクを上げることがあるのです。
3-1.脳出血
脳の中を走っている細い動脈が破れて出血することを脳出血と呼んでいます。脳出血の主な原因は高血圧や動脈硬化です。出血がひどい場合は意識障害を起こし、命に関わることもあります。
3-2.脳梗塞
脳梗塞は、脳の動脈が詰まることで血流が途絶えて脳細胞が壊死する病気です。壊死した脳細胞が治ることはありません。壊死した場所によって、運動麻痺や感覚障害、言語障害などが起こります。
3-3.くも膜下出血
くも膜下出血とは、脳を包んでいるくも膜の内側にある血管が出血することです。動脈がこぶ状に膨れた脳動脈瘤の破裂が主な原因だといわれています。意識障害や心肺停止を起こすこともあり、死亡率は50%ともいわれている病気です。
3-4.狭心症
心臓に血液を送っている冠動脈が狭くなり、血液が流れにくくなった状態を狭心症といいます。冠動脈が狭くなる原因の多くは動脈硬化です。15分程度の一時的な胸の痛みや圧迫感などの症状が起こります。
3-5.心筋梗塞
心筋梗塞とは、冠動脈が完全に詰まって心臓に血液が送られなくなった状態です。血流が途絶えると心筋が壊死してしまいます。迅速に対応しないと、死に至ることもある病気です。
4.白衣高血圧の治療法
白衣高血圧の場合、基本的に薬を使った治療は行いません。ただし、放置しておくと将来的に高血圧に進展する可能性があるため、自宅で血圧を測定する習慣を作り、生活習慣を改善していくことが大切です。
また、定期的に経過観察を行って高血圧に進展していないかチェックする必要もあります。
4-1.自宅で血圧を測定する習慣を作る
自宅で血圧を測定し、高血圧に進展した場合でも早期発見できるようにしておくことが重要です。高血圧に進展すると、自宅で測定しても血圧が140/90 mmHg以上を示すようになります。
4-2.塩分の摂取量を減らす
塩分の過剰摂取は、血圧を上げる原因となります。高血圧の方は1日の塩分摂取量を6 mg未満にするよう推奨されているので、こちらの数字を目標に減塩を心がけましょう。減塩には、次のような行動が有効です。
● 漬物を控える
● 麺類の汁を残す
● 味噌汁は具だくさんにし、汁の量を減らす
● 減塩調味料を使う
● 香辛料や香味野菜などを使って風味をつける
● 外食や加工食品を控える
4-3.カリウムを積極的に摂る
カリウムには、ナトリウムの排出を促して血圧を下げる働きがあります。WHOでは、1日3,500 mgのカリウムを摂取することが推奨されているため、積極的に摂取しましょう。
〈カリウムが豊富な食品〉
食品名 | 可食部100 gあたりのカリウムの量 |
削り昆布 | 4,800 mg |
乾燥パセリ | 3,600 mg |
ドライトマト | 3,200 mg |
脱脂粉乳 | 1,800 mg |
バナナ | 1,300 mg |
4-4.適正体重を維持する
肥満の方は、正常体重の方よりも高血圧のリスクが上がります。日本肥満学会が定めている肥満の基準は、BMI25以上です。肥満になると高血圧だけでなく糖尿病や脂質異常症、心血管疾患などのリスクも上がるため、適正体重を維持するように心がけましょう。
4-5.適度な運動を行う
適度な運動は、血圧を下げるのに効果的です。1日40分以上の運動を行うことが推奨されています。続けて40分間運動する必要はなく、1回あたり10分以上の運動を合計で40分以上行えば問題ありません。
4-6.節酒・禁煙を行う
タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させて血圧を上昇させます。喫煙している方は禁煙を心がけてください。また、飲酒も血圧上昇の原因となるので節酒を心がけましょう。
5.白衣高血圧と仮面高血圧の違い
白衣高血圧は、診察室で測定すると高血圧を示すものの、自宅では非高血圧を示すものです。
一方で仮面高血圧は、診察室での血圧は非高血圧であるものの、それ以外のところでは高血圧を示す状態をいいます。仮面高血圧でも心血管疾患のリスクが高まるため、注意深い血圧の管理が必要です。
6.血圧のことが気になるなら「イーメディカル」へ!
「白衣高血圧かもしれないけど、どう管理したら良いのか分からない」
「いつ血圧が上がるのか分からなくて不安」
このような方は、オンラインで診察を受けられる「イーメディカル」をご活用ください。
6-1.スマートフォン台で診察が完結
高血圧イーメディカルは、オンライン診療に特化したサービスです。スマートフォン1台あれば診察が完了するため、わざわざ医療機関まで足を運ぶ必要がありません。処方されたお薬は自宅まで郵送されるので、診察から薬の受取まですべてが自宅で完結します。
6-2.血圧計が無料で貸与されるので毎日測定する習慣が作れる
イーメディカルに入会いただいた方には、無料でオムロン製の血圧計を貸与しています。専用のアプリを使うことで測定したデータが医師とも共有されるため、自宅でも高血圧を示すようになったときでもすぐに適切な対応を受けることが可能です。
6-3.不安なこと・心配なことはいつでも専門チームに相談できる
血圧について少しでも不安や心配がある方は、いつでもチャットからご相談ください。高血圧に関する深い知識を習得した医師や看護師のチームがしっかり対応します。
7.まとめ
白衣高血圧とは、診察室で血圧を測定したときは高血圧を示すものの、自宅では非高血圧となる状態のことです。自宅では血圧が高くないから問題ないだろうと放置する方もいますが、高血圧でない方と比べると脳心血管病を起こすリスクが高くなるといわれています。
また、そのまま高血圧に進展する可能性もあるため、日頃から注意深く血圧をチェックしておくことが大切です。血圧について気になることがある方は、いつでも高血圧イーメディカルにご相談ください。専門チームがあなたの血圧を管理し、安心して過ごせる毎日を提供します。