「高血圧の人向けにオンラインで診療が受けられると聞いたけれど、どんなもの?」
「オンライン診療だと、対面診療と比べて何がいいの?」
「オンラインだと、診察がていねいじゃなかったり、費用が高くなったりしない?」
高血圧の方や血圧高めの方の中には、そんな疑問や不安を持っている方も多いのではないでしょうか。
「オンライン診療」とは、インターネットを利用した診療方法です。
医師が対面で診察するかわりに、スマートフォンやPCを通じて患者さんとコミュニケーションをとるもので、医師法や厚生労働省のガイドラインでも正式な診療形態として認められています。
対面診療と比べて以下のようなメリットがあるため、特に長期的な治療が必要な高血圧などの慢性疾患・生活習慣病に適した医療として注目を集めています。
・通院が必要ない
・病院での待ち時間がかからない
・新型コロナウイルスなどによる感染症の不安なく受診できる
ただ、高血圧のオンライン診療は誰でも受けられるわけではなく、以下に該当する方はやはり従来通りの対面診療が必要になる可能性があります。
・すでに高血圧の合併症を生じている方:心房細動などの不整脈、脳梗塞、腎機能障害など
・併存疾患がある方:糖尿病、痛風など
そのため、まず医師に「診療前相談」をして、高血圧のオンライン診療が可能かどうかを判断してもらう必要があるのです。
そこでこの記事では、「高血圧のオンライン診療に興味がある」「受けてみたい」という方に向けてさまざまな疑問にお答えすべく、日本高血圧学会認定の高血圧専門医・谷田部淳一医師に取材しました。
まずは、以下のような基本的なことから伺っていきます。
▼オンライン診療とは?
▼なぜ高血圧のオンライン診療が必要なのか
▼オンライン診療の法的位置付け
それを踏まえて、実際にオンライン診療を受ける前に知っておきたいことをお伝えします。
▼高血圧オンライン診療を受けられる人・受けられない人
▼高血圧オンライン診療のメリット
▼高血圧オンライン診療のデメリット
▼高血圧オンライン診療がおすすめの方
▼高血圧オンライン診療の流れ
▼高血圧オンライン診療の費用
▼高血圧オンライン診療についてよくある質問
最後まで読めば、知りたかったこと、疑問や不安への答えが得られるはずです。この記事で、あなたがより良い高血圧治療を受けられるよう願っています。
取材したのは、
医師・医学博士
「高血圧イーメディカル」チーフメディカルディレクター
谷田部 淳一 先生
20年にわたって診療と研究を行っている高血圧専門医、内分泌代謝科専門医。福島県立医科大学医学部卒業。
より多くの人が、より簡単に高血圧ケアを受けられるよう、オンライン診療の普及に力を入れている。日本内科学会認定内科医/日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医・指導医/日本高血圧学会認定高血圧専門医・指導医
目次
1. 高血圧のオンライン診療とは?
— まず最初に、そもそも「高血圧のオンライン診療」とはどんなものでしょうか?
なぜ必要なのでしょうか?「オンライン診療」の基本から伺っていきたいと思います。
1-1. オンライン診療とは?
— 谷田部先生、そもそも「オンライン診療」とは何ですか?
「オンライン診療」は、インターネットを利用した診療方法です。
医師が対面で診察する代わりに、スマートフォンやPCを通じて患者さんとコミュニケーションをとります。
ちなみに厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(2018年)では、以下のように定義しています。
遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。
ここに書かれているように、「オンライン診療」は最初、「遠隔診療」として厚生労働省が平成9年に提唱したものです。
その当時は離島や僻地など医療のアクセスが非常に悪い場所に適切な医療を提供する目的で始まりました。
なかなか普及しなかったのですが、その後、デジタル化や規制改革の流れが強まった際に、「医療も改革・改善が必要ではないか」という議論が起こります。
その中で、「遠隔診療も見直そう」となったのが2015年です。
この年に、厚生労働省から「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」という通知が出ました。
それまでは、「医師法」で遠隔診療が認められるのは「直接の対面診療を行うことが困難である」「離島、へき地の患者」とされていたんです。
それがこの通知で、離島や僻地はあくまで例示に過ぎず、あらゆる場所・あらゆる人に対して遠隔診療を提供することがあっても、ただちに医師法違反にはあたらないと明示されました。
そこで、民間事業者がこぞってオンライン診療に参入したのです。
「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」より抜粋
1 基本的考え方
診療は、医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本であり、遠隔診療は、あくまで直接の対面診療を補完するものとして行うべきものである。
医師法第20条等における「診察」とは、問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものをいう。
したがって、直接の対面診療による場合と同等ではないにしてもこれに代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことは直ちに医師法第20条等に抵触するものではない。
— 先生がチーフメディカルディレクターを務めている「高血圧イーメディカル」も民間のオンライン診療サービスですね。
はい、高血圧に特化したオンライン診療サービスです。
ご加入いただいた方に血圧計をお送りして日々の血圧を測定していただき、その血圧データを医療スタッフが見守ります。
その上で、医師が1〜2ヶ月ごとにオンラインで診断を行い、お薬が必要な場合は自宅へお届けしています。
1-2. なぜ高血圧のオンライン診療が必要なのか
— 高血圧に対しては、町の内科医院などに行けば対面で診察を受けることもできるのに、なぜそのような「オンライン診療」が必要なのでしょうか?
これは、従来の高血圧診療が抱えている問題と深く関わっています。
実は、現在日本には、高血圧の診断基準「血圧140/90mmHg 以上」に該当する人が4,300万人もいると推定されています。つまり、成人の二人にひとりが「高血圧」なのです。
さらに問題なのは、そのうち少なくとも半分の2,000万人以上は、何らかの理由で血圧が高い状態を放置していて、その状態がこの20年間まったく変わらず続いているという点です。20年前といえばYahoo!が登場し、10年前にはLINEができ……と世の中はIT化が進んで様変わりしてきましたよね。ところが、こと高血圧に関してはまったく変化がない。(現在高血圧を放置している)2,000万人の方々に向けた高血圧対策に着手するには、従前の医療のあり方では難しいのです。
— その方々は、なぜ高血圧を放置されているのでしょう?
これは、2016年に調査された「日本人成人を対象とした医療機関受診及び遠隔診療に関するWebアンケート」のデータですが、患者さんが「医療機関にかかる際に、ストレスだと感じること」として以下のようなものが挙がりました。
出典:「日本人成人を対象とした医療機関受診及び遠隔診療に関するWebアンケート」ポート株式会社
これによると、
・病院の待ち時間:76.4%
・通院すること:37.0%
・治療を複数回行わないといけない:21.6%
・調剤薬局での薬の受け取り:21.4%
などが、特に高いスコアになっています。
つまり、患者さんにとって、治療にはいろいろとイヤなことがあるんですね。
たとえば病院に行くと、受付でまず症状を話して、各診療科に振り分けられ、そこでも同じ説明をして、診察まで待たされる。やっと診察室に入っても、医師の診察は3分もかからず終わってしまう。そうなると、患者さんとしては「うんざりしてしまう」というわけです。
特に高血圧の治療は、患者さんの血圧や生活習慣を定期的に見守りながら改善していくことが重要にもかかわらず、上記のようなことがイヤだからと医療機関に足を運ばなかったり、治療を中断してしまったりする人が多いのです。このような受診に至るまでのハードルを下げなければ、前述した2,000万人の方々が置き去りにされてしまうでしょう。
そこで、オンライン診療という選択肢が意味を持ってきます。
オンライン診療は、決まった日時にスマートフォンでアクセスすれば、待たずにすぐ診療を受けられます。
「通院が面倒」「待ち時間が長い」といったストレスがなく、医師と1対1で繋がるまでが近いのです。
オンライン診療の中には、お薬をご自宅まで郵送してもらえるものもあるので、その場合は薬局に出向く必要もありません。
高血圧を放置している2,000万人の方々に対して、「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか!?」と怒るのではなく、「今までつらかったですね、これからは安心してください」と笑顔で迎えることで、気持ちよく高血圧対策に着手していただきたいと思っています。
コラム
【谷田部先生に聞く! 一般の医療機関にオンライン診療が普及しない理由】
オンライン診療は、残念ながら一般のクリニックなどで行っているところは少ないのが現状です。それはなぜでしょうか?
その理由は、
・時間的にも人手的にもオンライン診療に取り組む余裕がない
・診療報酬が十分得られない
という点にあります。
まず第一に、現在の医療機関はどこも時間いっぱいまで患者さんを受け入れています。
一般的な内科で1日40人、多ければ60人を診ているので、そこにオンライン診療を新たに導入する隙間がないのです。
また、もしオンライン診療を導入すれば、患者一人当たりにかかる時間は対面診療より格段に長くなります。まずお互いの通信が繋がるのを待ち、ガイドラインに従って患者の本人確認をし、くわしく話を聞いて診察後にカルテを書き……としていると、10〜15分程度はかかってしまいます。初診ならなおさらです。
対面であれば、「何か変わりありませんか?」「ありません」「ではお薬出しておきますね」と、せいぜい2分半もあれば終了です。
つまり、オンライン診療によって、診察できる患者の数が数分の1に減ってしまうわけです。となると、診療報酬も大幅に減るでしょう。
最近では、以前よりもオンライン診療に関わる診療報酬の点数は高くなったとはいえ、それでも不足分を補うには至っていないのが現実です。
特に、誠実にていねいな医療を提供している医療機関ほど、オンライン診療に取り組む余裕はありません。
そのため、今後はそういった医療機関を支援する存在としても、「高血圧イーメディカル」のようなサービスの役割はさらに広がっていくと考えています。
1-3. オンライン診療の法的位置付け
— 先ほど「医師法」のお話が出ましたが、そもそもオンライン診療は法律的に問題ないのでしょうか?
はい、前述したように、2015年の厚生労働省の通知「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」で問題ないという見解が出されました。
その中には、「直接の対面診療による場合と同等ではないにしてもこれに代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことは直ちに医師法第20条等に抵触するものではない」とあります。
これにより、基本的には以下の医師法の条項に違反しないと認められました。
【医師法】
<無診察治療等の禁止>第二十条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
2. 高血圧オンライン診療を受けられる人・受けられない人
— 高血圧対策における「オンライン診療」の意義はよくわかりました。
ただ、これは誰でも受けられるものではないですよね?
具体的にどのような人がオンライン診療を受けることができるのでしょうか?
2-1. 受けられる人
— まず、高血圧のオンライン診療を受けることができるのはどんな人ですか?
高血圧に関する相談や治療に初めて取り組もうと思っても、受診する時間が取れずにそのままになっている方や、さまざまな事情で治療を中断してしまった方にメリットがあると考えています。
その中でも、高血圧の程度が比較的軽く、合併症が少ない人が主な対象となります。
ほかの疾患や合併症をお持ちの場合、適切な検査や複雑な処方を受けなければならないケースがあるためです。
一方で、オンライン診療の中でも、「血圧に関してアドバイスをもらう」だけであれば、どなたでも受けていただけます。
「高血圧イーメディカル」には、毎日の血圧測定結果を看護師がモニタリングして、チャットで相談を受けるだけのプランもあり、「現時点では特に診療や投薬の必要がない方」もご利用可能です。
2-2. 受けられない人
— では反対に、オンライン診療を受けられない人は?
実際にオンラインで診療が可能かどうかは、厚生労働省がガイドラインで定めた「診療前相談」によって判断されます。
たとえば、
・すでに高血圧の合併症を生じている方:心房細動などの不整脈、脳梗塞、腎機能障害など
・併存疾患がある方:糖尿病、痛風など
といったケースでは、リアルな対面診療が必要な場合があります。
私どもの「高血圧イーメディカル」でも、このガイドラインに沿ってまず最初に「無料オンライン相談」を実施しています。
高血圧の専門家が直接お話を聞き、最適な治療方法やサービスプランをご提案していますので、まずはそちらにご相談ください。
3. 高血圧オンライン診療のメリット
— では、実際に高血圧オンライン診療を受けられるとして、そのメリットにはどんなものがあるでしょうか?
一般的にクリニックなどが行っている「オンライン診療」と、「高血圧イーメディカルのオンライン診療」それぞれのメリットを教えてください。
まず一般的なオンライン診療の場合は、シンプルに「医療機関に行かなくても診療が受けられる」という点ですね。それによって、
・通院が必要ない
・病院での待ち時間がかからない
・新型コロナウイルスなどによる感染症の不安なく受診できる
というメリットがあります。
3-1. 一般的なオンライン診療のメリット
— それぞれご説明お願いします。
3-1-1. 通院が必要ない
まずオンライン診療は、病院に出向く必要がありません。
スマートフォンなどのデバイスがあれば、自宅でもどこでも好きな場所で受診できます。
「1-2. なぜオンライン診療が必要なのか」で前述したように、患者が医療機関でストレスを感じることとして、「通院すること」自体を挙げた方が37%もいました。
「忙しくて通院の時間が取れない」「病院が遠くて通うのが大変」といった方々にとって、これは大きなメリットでしょう。
3-1-2. 病院での待ち時間がかからない
また前述の調査では、「病院の待ち時間」がストレスになっている方も76.4%いました。
オンライン診療であれば、この懸念もありません。
事前予約した日時にスマートフォンなどでアクセスすれば、すぐに医師と直接コミュニケーションを取ることができます。
3-1-3. 新型コロナウイルスなどによる感染症の不安なく受診できる
もうひとつ、最近みなさんが心配なさっているのは、「通院中の交通機関や病院の待合室などで、新型コロナウイルスなどに感染するリスクがあるのではないか」ということでしょう。
オンライン診療は通院の必要がありませんので、ご自宅で受診すればこのような不安も払拭できます。
3-2. 「高血圧イーメディカル」ならではのメリット
— それに加えて、「高血圧イーメディカル」ならではのメリットもありますか?
それは、
・薬は郵送されるので、薬局に行く必要がない
・医療スタッフによって、日々の血圧の変化が見守られる
という点ですね。
3-2-1. 薬は郵送されるので、薬局に行く必要がない
クリニックなどが行っているオンライン診療では、診察はオンラインで受けられますが、薬が必要な場合は処方箋を送ってもらって、自分で薬局に出向くのが一般的です。
一方「高血圧イーメディカル」では、お薬もご自宅に郵送します。そのため、薬局に出向く必要はありませんし、薬局で長く待たされることもありません。
服薬指導は、医師または薬剤師がオンラインで行います。
3-2-2. 医療スタッフによって、日々の血圧の変化が見守られる
また、「高血圧イーメディカル」は純粋な診療行為だけでなく、高血圧に向き合う患者さんが治療を継続していく上で大切なサービスをいくつも提供しています。
そのひとつが、日々の血圧の変化を見守る「血圧モニタリング」です。
こちらからお送りする血圧計で血圧を測っていただくと、そのデータを看護師がチェックし、気になる変化があれば医師に相談、必要な場合は医師からユーザーの方にご連絡します。
また、ユーザーの方に何かお困りごとや不安があれば、医師や看護師にチャットでご相談いただくことも可能です。
高血圧の治療の基礎となるのは、生活指導です。患者さんの生活習慣を整えることで、血圧をコントロールしていく。そのためには、日々の見守りや適切な情報提供が重要です。
「高血圧イーメディカル」では、ユーザーの方に寄り添って困りごとや不安を解消し、安心感を持っていただけるサービスを提供しています。
【「高血圧イーメディカル」のサービス】
4. 高血圧オンライン診療のデメリット
— 反対に、高血圧オンライン診療のデメリットというのは何かあるでしょうか?
これは、一般的なクリニックでも「高血圧イーメディカル」でも同様に、「オンラインでは、レントゲンや心電図などの機器が必要な検査は受けられない」という点ですね。
日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2019」には、定期的な合併症の精査を行うことが推奨されていて、そのための検査としてレントゲン、心電図、心エコー、動脈硬化の検査、MRIなどさまざまなものが挙げられています。
それをすべて行う必要はありませんが、レントゲンと心電図くらいはオンライン診療でも最低限見ておきたいところです。
第3章 高血圧の管理および治療の基本方針
4. 予後評価と管理計画のためのリスク層別化
高血圧は脳心血管病の主要な危険因子であり、特に脳卒中に対する寄与度が大きい。高血圧者の予後(脳心血管病の発症やそれによる死亡)は、高血圧のみならず、高血圧以外の危険因子と高血圧に基づく臓器障害の程度や脳心血管病既往が関与する。したがって、高血圧の診療においては、血圧レベルのみならず、脳心血管病の発症に影響を与える危険因子と臓器障害/脳心血管病の有無を評価する。(後略)出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
そこで、このデメリットを解消するために、「高血圧イーメディカル」ではユーザーの皆さまから年に1回の健康診断や人間ドックの結果を送っていただきチェックしています。
さらに、人間ドックを受ける方には、できればオプションとして、
・心エコー
・動脈硬化の脈波検査
・脳ドック(頭部MRI・MRA、頚動脈MRA)
などを追加していただくようお願いしています。
ちなみに、高血圧治療において重要なポイントのひとつに、「二次性高血圧を見逃さない」ということがあります。
「二次性高血圧」とは、原因を特定できる高血圧のことです。
甲状腺疾患や副腎疾患などが発見されれば、それらを治療することで高血圧も治癒、または軽症化する可能性があります。
我々「高血圧イーメディカル」の医師は、直接の対面や検査ができない場合でも、二次性高血圧の兆候を見逃さないよう常に気配りを行っていて、必要があれば患者さまにくわしく説明し、適切な医療機関の受診をご案内しています。
「二次性高血圧」とは ───
高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧とがあります。
二次性高血圧は、甲状腺や副腎などの病気があり、それが原因で高血圧を起こすものをいいます。睡眠時無呼吸症候群でも二次性高血圧を合併します。
それに対し、日本人の大部分の高血圧は、それらの原因のない、本態性高血圧です。本態性高血圧は、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。
5. 高血圧オンライン診療がおすすめの方
— メリット・デメリットはわかりました。
では、それを踏まえて実際に高血圧オンライン診療の受診をおすすめできる、向いているのはどんな方でしょうか?
そうですね、まず以下のような方には向いているでしょう。
・血圧や健康状態に不安を持っているが、診察や治療にはいま一歩踏み出せない方
・「白衣性高血圧(自宅では正常な血圧だが、病院で白衣の医療者を前にすると血圧が上がる)」「恥ずかしがり」などナイーブなため、これまであまり医師の診断を受けてこなかった方
・忙しくて通院の時間が取れない方
・一度は高血圧治療を始めたが、中断してしまった方
特に、治療を中断した方は、ぜひ一度ご相談いただきたいですね。
これは海外のデータですが、せっかく高血圧の治療を開始しても、1年後には60%の患者さんは病院に姿を現さなくなるそうです。
それは非常に望ましくない。
オンライン診療でしたら通院もなく、医師と患者さんとの直接のお付き合いで利便性の高い医療が受けられますので、一度中断した方でも続けやすいでしょう。
6. 高血圧オンライン診療の流れ
— ここまで、高血圧オンライン診療に関する基本的なことをいろいろと教えていただきました。
ここからはさらに踏み込んで、「実際にオンライン診療を受けてみたい!」という方向けに、実践的な質問をさせてください。
まず、受診するには何をどうすればいいのか、手続きの流れはどのようになっていますか?
一般的なクリニックなどでのオンライン診療は、医療機関ごとに異なりますが、おおむね以下のような流れで行うところが多いようです。
ちなみに、私どもの「高血圧イーメディカル」の場合ですが、以下のような流れで行います。
※2023年7月21日以降、保険診療プラン(モニタリン含む)に統一しています。
7. 高血圧オンライン診療の費用
— もうひとつ重要なこととして、高血圧オンライン診療の費用も教えてください。
何となく「対面診療より高額なのでは……?」という不安があります。
一概にオンライン診療と言っても、「保険診療」で行っている医療機関と「自由診療」のところがあり、それによっても費用は異なります。
<保険診療の一例>
・診察費用
・処方箋送付費用(自宅に送付する場合)
・システム利用料 など
合計1回あたり(3割負担の場合)1,000〜3,000円
※お薬代は別途
<「高血圧イーメディカル」の場合>
◎保険診療プラン(モニタリング含む)
・月額費用1,980円(税込)
・診療/薬代(保険適用)都度
※法人様の福利厚生用に自由診療のプランもございます。
8. 高血圧オンライン診療についてよくある質問
— ここまでで、高血圧オンライン診療に関して知っておくべきことはひと通りお話しいただけたかと思います。
ただ、「オンライン診療を受けてみたいけれど、迷っている」という方の中には、さらにいくつか疑問や不安があるようですので、最後にそれらにご回答をお願いいたします。
8-1. 初診から受けられるのか?
— まず、今まで高血圧に関して病院を受診したことがない場合、いきなり初診からオンライン診療を受けることはできるのでしょうか?
はい、可能です。
前出の厚生労働省のガイラインが2022年に改定され、以下のケースでは初診からオンライン診療を行えるようになりました。
1)「かかりつけの医師」(=日頃より直接の対面診療を重ねているなど、患者と直接的な関係がすでに存在する医師)が行う場合
2)既往症、服薬歴、アレルギー歴などの他、症状から勘案して問診および視診を補完するのに必要な医学的情報を過去の診療録、診療情報提供書、健康診断の結果、地域医療情報ネットワーク、お薬手帳、Personal Health Recordなどから把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合(なお、この場合、事前に得た情報を診療録に記載する必要があります。)
3)以下のいずれかに該当し、医師が診療前相談を行った上で初診からオンライン診療を行う場合(診療前相談を行った後に引き続いてオンライン診療を実施することが可能です。なお、オンライン診療の実施後、対面診療につなげられるようにしておくことが、安全性が担保されたオンライン診療が実施できる体制として求められます。)
・「かかりつけの医師」がオンライン診療を行っていない場合や、休日夜間などで「かかりつけの医師」がオンライン診療に対応できない場合
・患者に「かかりつけの医師」がいない場合
・「かかりつけの医師」がオンライン診療に対応している専門的な医療などを提供する医療機関に紹介する場合(必要な連携を行っている場合、D to P with Dの場合を含みます。)や、セカンドオピニオンのために受診する場合※「診療前相談」の定義
「日頃より直接の対面診療を重ねているなど、患者と直接的な関係がすでに存在する医師以外の医師が初診からのオンライン診療を行おうとする場合(医師が患者の医学的情報を十分に把握できる場合を除く。)に、医師ー患者間で映像を用いたリアルタイムのやりとりを行い、医師が患者の症状および医学的情報を確認する行為」
8-2. 薬はジェネリックか?
— オンライン診療で処方されるお薬は、ジェネリックでしょうか?
ジェネリックではなく先発品を希望することはできますか?
それはオンライン診療を提供する医療機関や事業者ごとに異なります。
「高血圧イーメディカル」の場合は、基本すべてジェネリックです。
実際にお送りするお薬は、アムロジピン(アムロジン、ノルバスク)、ニフェジピン(アダラートCR)、配合剤(例:アムバロ、テラムロ、カムシア、イルアミクス)などです。
先発品には対応していませんのでご了承ください。
8-3. 病状が深刻になったらどうするのか?
— 血圧モニタリングを続けている中で、もし何か異常に気づいたり病状が深刻になったりしたらどうなりますか?
日々の血圧データは医療スタッフがモニタリングしていますので、何か異変を感じたらまず医師に相談します。
その上で、必要があると判断すれば医師が患者さまにご連絡して、近隣の医療機関の受診をおすすめすることもあります。
また、急激な血圧変化や激しい頭痛などがあってご連絡いただいた場合も、近隣の医療機関を受診していただくことになります。
いずれの場合も、「高血圧イーメディカル」が連携している全国の専門医や大病院にご紹介することが可能です。
その際には紹介状をお出しします。
8-4. 本当の医師だと確認できるか?
— オンライン診療の場合、診察をしてくれる相手が本当に医師なのかどうかが不安です。
何か確認する方法はありますか?
厚生労働省のガイドラインでは、「医師が医師免許を保有していることを患者が確認できる環境を整えておくこと」として、以下の書類の提示を推奨しています。
・HPKIカード((医師資格証)
・医師免許証
「高血圧イーメディカル」では、初回のオンライン診療時に医師免許を提示して、ユーザーの方にご確認いただいています。
8-5. 薬は何日程度で届くか?
—「高血圧イーメディカル」ではオンライン診療後、必要であればお薬は自宅まで郵送してもらえるとのことですが、何日程度で届きますか?
ご自宅の場所にもよりますが、基本的には4〜5日程度と考えてください。
早ければ2〜3日でお届けできる場合もあります。
実際に薬局でお薬をもらう場合は、処方箋の有効期限が4日ですので、郵送でもだいたいその期限内にはお届けしたいと考えています。
8-6. 血圧を定期的に測れなくても大丈夫か?
— 血圧モニタリングのためには、毎日決まった時間に血圧を測るのがベストだと思いますが、忙しくて毎日は測れなかったり、忘れてしまったり、測る時間がまちまちになってしまっても大丈夫でしょうか?
基本的には、血圧が安定しているときには週3回以上、不安定なときは週5日以上、「朝起きたとき」「夜寝る前」それぞれに測っていただくことをおすすめしています。
が、「そんなに定期的に測れないから」と、せっかく始めた治療から離脱されてしまうのがもっともよくないことですので、「高血圧イーメディカル」では無理強いはしません。
できる範囲で測っていただければ、何もデータがないよりは役立ちます。
私たちは、患者さまの不安や困りごとに寄り添って、良好な関係をいかに維持するか、安心を感じていただけるかを大切に考えていますので、まずは無料相談だけでもご利用ください。
あわせて読みたい、専門的なお医者さんについての記事はこちら。
9. まとめ
いかがでしたか?
高血圧のオンライン診療について、知りたいことがよくわかったかと思います。
ではあらためて、この記事の要点を振り返ってみましょう。
◎オンライン診療とは「医師が対面で診察するかわりに、インターネットを利用しスマートフォンやPCを通じて患者さんとコミュニケーションする医療方法」
◎高血圧オンライン診療を受けられないのは、
・すでに高血圧の合併症を生じている方:心房細動などの不整脈、脳梗塞、腎機能障害など
・併存疾患がある方:糖尿病、高コレステロール血症、痛風など
◎高血圧オンライン診療のメリットは、
・通院が必要ない
・病院での待ち時間がかからない
・新型コロナウイルスなどによる感染症の不安なく受診できる
→特に「高血圧イーメディカル」ならではのメリットは、
・薬は郵送されるので、薬局に行く必要がない
・医療スタッフによって、日々の血圧の変化が見守られる
◎高血圧オンライン診療のデメリットは、
・オンラインでは検査が受けられない
◎高血圧オンライン診療がおすすめの方は、
・血圧や健康状態に不安を持っているが、診察や治療にはいま一歩踏み出せない方
・「白衣性高血圧」などナイーブなため、これまであまり医師の診断を受けてこなかった方
・忙しくて通院の時間が取れない方
・一度は高血圧治療を始めたが、中断してしまった方
◎高血圧オンライン診療の費用は、
・一般的な保険診療の一例:1回あたり(3割負担の場合)1,000〜3,000円程度/お薬代は別途
・「高血圧イーメディカル」の場合:
月額 1,980円(税込)
診療/薬代(保険適用) 都度
以上を踏まえて、あなたが適切な高血圧治療を快適に受けられるよう願っています。