降圧薬(高血圧の薬)の種類と効果とは|良い点、悪い点をまとめて医師が解説

監修者

【監修】谷田部 淳一

チーフメディカルディレクター・ 医師・医学博士

「高血圧の薬に種類はあるの?」
「効果や副作用が気になる。一生飲まなければいけないの?」

血圧のお薬が必要だとお伝えすると、疑問や不安があり、薬はまだ控えたいのだと相談されることがよくあります。

本来、降圧薬はあなたの強い味方です。なかなか下がらなかった血圧がスッと落ち着き、ひとまずの安心を得られるもの。
この安心を得るために、降圧薬の良いところ、良くないところ高血圧の専門知識を持った医師が解説し、あなたの疑問や不安を解消します。

最初につかわれる降圧薬は「カルシウム拮抗薬」と「アンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬」この2種類のことがほとんどです

しかし、心不全など、特殊な病気をお持ちの方では推奨される薬剤が異なり、高血圧の薬は全部で6タイプほどに分けることが出来ます。
血圧とうまく付き合うために、降圧薬は心強いパートナーです。そこでこの記事では、以下の疑問に詳しく答えていきます。

▼血圧を下げるために、薬は本当に必要?
▼代表的な降圧薬は?
▼初めての降圧薬、何から始めるべき?
▼減塩が難しい人をサポートするお薬もあるって本当?
▼降圧薬は、一生飲み続けなければいけないの?

この記事を読むことで、降圧薬への不安や誤解が解消されます。
高血圧をしっかりとケアして健康な毎日を送るために、ぜひ最後までお読みください。

1 .高血圧治療(降圧薬)の必要性


高血圧が体に悪い、すなわち高血圧は病気である(=高血圧症)という認識が生まれてから、まだ100年程度しかたっていないということを皆さんはご存知ですか。高血圧に関する理解が目まぐるしく変遷する時代に皆さんは年齢を重ねており、「血圧は年齢+100でよい」という、誤った認識が未だに根深く残っています。

ここでは、なぜ高血圧は良くないのか、治療しなければならないのか、そのための薬の有益性について説明していきたいと思います。

1-1.「血圧は下げてはいけないもの」と誤認されていた時代

1900年代ではまだ「血圧は下げてはいけないもの」と信じられていました。その時代を生きていた「第32代アメリカ合衆国大統領フランクリン・D・ルーズべルトは」、就任時から血圧が高めであり、その後、彼の血圧はどんどん上昇していき、1945年に脳出血で63年の生涯を閉じてしまいます。この時、ルーズベルト大統領の血圧は300/190 mmHgであったと言われています。この頃から、アメリカの保険会社は、血圧が高い人ほど寿命が短いという仮説を持つようになります。

その後、1950年代前半に中枢作用系薬、後半になって利尿薬が発売され、高血圧を治療できるようになってから、ルーズベルト大統領のように極端な高血圧をきたす人は少なくなっていくものの、この時点ではまだ、血圧を低下させる必要性の証拠は得られていませんでした。

1-2.「血圧を下げること」の大切さを証明した研究

第二次大戦後、急速に豊かになっていく食生活の影響もあり、アメリカの疾病構造(どのような病気が多いか)も変化していきます。心血管疾患、特に心筋梗塞や心不全が急速に増加したため、その原因を突き止める重要性が高まりました。先に述べたルーズベルト大統領の脳出血死や保険会社の調査結果に加え、この心筋梗塞の増加がきっかけとなり、1984年から始められたのが、フラミンガム研究です。マサチューセッツ州フラミンガムの住民に繰り返し検診を行い、その行く末を見守る(観察)研究が、高血圧に対する考え方を一変させました。

今まで、心筋梗塞を起こす危険度に関連する要素(危険因子と言います)についてはよくわかっていませんでしたが、

▼高血圧が最大の危険因子である
▼悪玉コレステロール(LDL-C)も良くない
▼そのほか、喫煙や運動不足などの生活習慣と心筋梗塞に関連がある

などのことが次々と明らかになったのです。このフラミンガム研究以降、今に至るまで様々な研究が行われ、
「低血圧の症状がない限り、血圧は低ければ低い方が良い」
「血圧が低い人は健康寿命が長い」
などが現代の常識となったのです。

1-3.血圧を下げる「降圧薬」がなぜ避けられてしまうのか

皆さん、花粉症がひどければどうしますか?アレルギー性鼻炎の薬を飲みますよね。通年アレルギーの人は、ずっと飲み続けている人もいます。胃薬もそうです。逆流性食道炎と言って、胸やけが不快な人はやはり薬を手放せません。では、なぜ高血圧の薬だけが嫌われるのでしょう?それは2つの大きな誤解が原因だと私は考えています。

▼「降圧薬には副作用があると思っている」
降圧薬は長期間の服用が必要となるため、特に安全な薬ばかりとなっています。高血圧患者さんの7割が内服している、アムロジピンというお薬があります。アムロジピンを服用して、入院しなければならないほどの深刻な副作用が起きるリスクは、宝くじを買って1等を当てるくらいの確率です。

低い確率の副作用を恐れるなど、様々な理由で服薬を敬遠することにより高血圧を放置すると、10年以内に心筋梗塞や脳梗塞などの心血管病を発症する確率は最大10%程度まで高くなります。10人に1人ですから、宝くじとは比較の対象にすらなりません。お薬は、遅れることなく適切なタイミングで開始することを私はおすすめします。

▼「降圧薬は一度始めたらやめられないと聞いた」
高血圧は生活習慣病のカテゴリーになっています。すなわち、食塩のとりすぎ、運動不足、ストレス過多、喫煙など、不適切な生活習慣が多かれ少なかれ背景になっています。しみついた生活習慣はなかなか急に変えることが難しく、薬を避けて数年から10数年放置する間に、血圧はますます上昇していきます。

最初は検診で140前後だった血圧も、160を超えるまで放置してしまったあとでは、薬になしに正常値までもっていくのはほとんど不可能です。それどころか、160の血圧を適切にコントロールするには、2剤から3剤の複数投薬が必要になります。こうなったら、確かに薬をやめることは難しいかもしれません。むしろ、140ぐらいの軽症段階で弱い降圧薬を飲んで安全な血圧域に下げておき、1-2年くらいを目安に体重を減らす、減塩する、禁煙するなどの頑張りにより降圧薬の卒業を目指す、という方が賢い方法だと私は考えます。

2.血圧を下げるための薬 降圧薬一覧

2-1.カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬(CCB)は、日本で一番多く処方され、7割以上の患者さんが飲まれている降圧薬です。最も安全に、とはいえ確実に血圧を低下させます。狭心症の治療にも使われます。注意点として、グレープフルーツなどかんきつ類との相互作用をご存じの方もおられるでしょう。副作用には、歯肉肥厚、下肢のむくみ、顔のほてりなどを見かけますが、どれも程度は軽く、服薬には影響を与えない場合が多いです。

▼日本で一番多く処方されている降圧薬です
▼1日1回の徐放剤が主流、飲み忘れても1日のどこかで飲めばOK
▼処方数の多いCCBはアムロジピンとニフェジピンCR
▼副作用として見られることがあるのは動悸、頭痛、顔面紅潮、浮腫
▼まれだが、歯医者さん的には歯肉肥厚に注意
▼グレープフルーツジュースを飲むとより強く血圧が低下することはあるが、神経質に避ける必要はない
▼もともと狭心症治療薬なので、高齢者にもオススメ

【CCBの特徴】
最初に降圧薬として臨床で使われるようになったCCBがニフェジピンです。ドイツで開発されましたが、狭心症に対する治療効果は主に日本で証明されたこともあり、1976年にまずは狭心症治療薬として承認されました。その後、1985年から高血圧治療薬としても使われるようになりました。

最初に登場したのは、このニフェジピンそのものをカプセルに詰め込んだ、何の変哲もないニフェジピンカプセル(商品名アダラートカプセル)です。こちらのお薬、急激に薬が効いて、またすぐに効き目が切れてしまうため、1日3回内服する必要がありましたが、改良に改良を重ねて、現在使われているアダラートCRは、外層部と内核錠の2つの徐放性部分で構成されています。

まず、水分の多い胃から小腸にかけて外層部のニフェジピンがゆっくり溶出し、その後、水分の少ない消化管下部に達すると、内核錠のニフェジピンがすみやかに溶出するという仕組みにより、1日1回の内服で安定した薬効を発揮するようになりました。もう一つの代表的なCCBであるアムロジピンは、24時間どころか、もっと長く効き目を発揮し、飲み忘れがあっても急に血圧が上昇することはありません。

現在では、現実に処方されるほぼすべての降圧薬が、1日1回の内服ですむように出来ています。逆に、1日複数回に分けて内服する降圧薬を処方された場合には、その理由を主治医に尋ねてみると良いでしょう。

【主なCCB】

成分名
(一般名)

商品名特徴

ニフェジピン

アダラート

ほぼCRしか用いられない 24時間強力で安定した降圧

アムロジピン

アムロジン/ノルバスク

36時間たっても体の中に半分の薬効成分が残る

シルニジピン

アテレック

血管拡張作用以外に交感神経抑制作用も

アゼルニジピン

カルブロック

血管拡張作用以外にナトリウム排泄作用も

【副作用は?】
まず前提としては、生活習慣病治療薬、特に高血圧治療薬とは長年の付き合いとなる場合がほとんどのため、一生飲んでも安全と考えられるもののみ承認されていると考えてよいです。とはいえ薬ですので、副作用というよりは、「好ましくない症状」を生じることもあります。なぜ副作用と言いたくないかというと、CCBは血管を拡張させることによって血圧を低下させる(主作用)のですが、「好ましくない症状」も、この主作用の副産物として起こると考えられるからです。血管が拡張することによって、過剰な血圧低下、動悸、頭痛、ほてり感、顔面紅潮、浮腫などを感じる場合があります。

また、内科医としては頻度が多いとは思わないのですが、歯科医や歯科衛生士の方からは、歯肉肥厚が多いというご指摘を受けます。歯茎が腫れぼったいなと思ったら、歯科の先生に診てもらいましょう。歯科医の先生が、CCBの副作用を疑い、歯茎の健康に差しさわりがあると判断した場合には、主治医の先生に連絡してくれると思います。

【グレープフルーツに注意?】
新しい薬を始める際には、薬物相互作用というのを気にしておく必要があります。薬局の薬剤師さんが気にするのは、このいわゆる飲み合わせについてです。特にCCBとグレープフルーツジュースの飲み合わせは、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類が、CCBの分解を阻害するため、CCBの血中濃度が上がり、低血圧を生じるケースがあるのではないかと言われています。フラノクマリン類は、ピンクやルビー種よりも白色種の方が多く、またその含量は果皮>果肉>種の順になっているとのことです。しかし一方で、グレープフルーツジュースやグレープフルーツを飲んだり食べたりしたからと言って倒れたという報告を受けたことは、筆者の経験上、今まで1度もありません。そもそも血圧が高くてCCBを飲んでいるわけですので、よほど低い血圧レベルで治療されていない限り、ほとんどの場合は大丈夫じゃないかという印象です。

注意するに越したことはありませんので、グレープフルーツ大好きの人には自己責任で、とお話することにしています。もちろん、他の薬に代えることもできるのですが、CCBがあまりにも優秀なので、欠かせない基礎薬になっているから代えがたいという事情もあります。

2-2.アンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬(ARB)

ARBは、日本で2番目に処方数が多いお薬です。アンジオテンシンIIという血管を収縮させるホルモンが受容体に結合することを阻害します。受容体とは英語でレセプターと言い、特定の物質がはまり込むことにより細胞内に信号を発し、細胞の収縮や弛緩などの様々な変化を引き起こす器官(仕掛け)のことです。

▼日本で2番目に多く処方されている降圧薬です
▼7種類すべてのARBで、1日1回の内服が基本です
▼呼び名が、なんとか「サルタン」で終わります
▼アンジオテンシン系の薬に共通して高カリウム血症の副作用があります
▼腎保護作用があり、蛋白尿の見られる患者さんには積極的に使います
▼妊娠したら中止が必要です

【ARBの特徴】
ARBには、臓器を守る作用があるとされているため、前述したとおり、心臓や腎臓が傷んでいると考えられる患者さんに積極的に用いられます。
また、糖尿病の発症を予防する効果も期待されています。ただし、直接的な臓器保護作用のほとんどは、血圧低下量に由来することに注意が必要です。

単純化して説明しますと、ARBと別の種類の薬を飲み比べて、両方で同じように血圧が130 mmHgまで低下したとすれば、ARB特有の作用がある分、他の薬よりも心臓や腎臓の保護する観点からARBが優れる可能性があるということです。もしもARBを飲んで血圧が130 mmHg、他の薬で血圧が120 mmHgとなった場合、他の薬の方がより優れると考えられます。もちろん、他の要素も考慮して患者さんそれぞれに判断してお薬を決めることとなります。

世界で初めて市販されたARBはロサルタンです。ロサルタンには、腎保護作用があることが大規模な臨床試験で証明されています。ロサルタンとイルベサルタンは、尿酸を低下させる作用が認められており、痛風や尿酸値の高い患者さんにお勧めと言えます。

【主なARB】

成分名
(一般名)

商品名特徴

ロサルタン

ニューロタン

世界初のARB、腎保護作用、尿酸低下作用がある

カンデサルタン

ブロプレス

日本で開発された初めてのARB、心不全にも使える、糖尿病の新規発症を予防する可能性がある

バルサルタン

ディオバン

世界で最も処方数が多い、エンレストという心不全治療薬にも使われている成分

テルミサルタン

ミカルディス

糖代謝などの改善効果がうたわれている

オルメサルタン

オルメテック

早く強い降圧効果、アルブミン尿の新規発症を抑制

イルベサルタン

アバプロ

緩やかに効果が発現する。腎保護作用、尿酸低下作用がある

アジルサルタン

アジルバ

最新のARB、最も効果が強いと言われる

【副作用は?】
やはり前提としてCCBと同じように、高血圧治療薬とは長年の付き合いとなる場合がほとんどのため、一生飲んでも安全と考えられるもののみ承認されていると考えてよいです。

そしてARBはCCBよりも、症状として自覚できる副作用が生じることは経験上、ほとんどないこともメリットです。検査すると分かることがある副作用としては、血液中のカリウム上昇と見かけ上の腎機能低下があります。

カリウムが上昇すると、こむら返りや手足のしびれなどを自覚することがありますが、ほとんどは無自覚です。高カリウム血症は、高齢者や腎機能が低下した患者さんに生じることが多いため、特にそのような患者さんにおいては、処方開始からしばらくしたら血液検査を行ってチェックすることが望ましいとされています。

注意
アンジオテンシンIIは、特に妊娠初期において、腎臓の成長に必須のホルモンです。
腎奇形などを生じるため、妊娠中は内服できません。
このように、特定に対象に使ってはいけない薬剤の事を禁忌薬と言います。妊婦さんに対して、ARBは禁忌薬です。しかし、ARBを使用しないと血圧や病状をコントロールできない患者さんもいらっしゃいます。妊娠を前提にしている場合でも、ARBの内服が必要であれば避けることはなく、患者さん(将来のお母さん)の体を守るためにARBの内服を続け、妊娠が成立した時点でARBの内服を中止し、別の薬剤に変えるなどすれば問題ないことが分かっています。
このことが周知されるまでは、妊娠中期までARBの内服を続け、胎児に異常を生じた例が1年間に10件程度見られていました。しかし、最近では広く知られている事実ですし、妊娠された方は処方されるお薬に対して防御的になり、自分から「妊娠したのですがこのお薬は飲んでも大丈夫でしょうか?」と聞くケースが増えていることから、ARBの内服を原因とした赤ちゃんへの悪影響が起きたケースを国内で耳にすることは少なくなった印象があります。

2-3.アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)

▼心臓や腎臓の保護に優れるとの証拠がある薬剤
▼ARBとほぼ同等の仕組みで効果を発揮するが、効果はやや弱い
▼空咳の副作用が有名
▼咳の副作用を逆手に取り、高齢者の誤嚥性肺炎を予防できるとの見方も
▼ARBに同じく、妊娠したら中止が必要です

【ACEIの特徴】
 ARBの前項で説明した、アンジオテンシンIIを作る酵素を遮断する薬です。ARBはアンジオテンシンIIが受容体に結合しないようにフタをする役割でしたが、ACEIは、そもそもアンジオテンシンIIの産生を抑えることにより血圧を低下させます。

【主なACEI】

成分名
(一般名)

商品名特徴

イミダプリル

タナトリル

1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症に唯一適応があり、蛋白尿が減少する脳梗塞後の肺炎予防

リシノプリル

ロンゲス・ゼストリル

ATLAS試験において、リシノプリルを高用量投与すると心不全による入院が減少

エナラプリル

レニベース

心不全による死亡率低下

テモカプリル

エースコール

アルブミン尿を減少させた

ペリンドプリル

コバシル

脳梗塞後の肺炎予防

デラプリル

アデカット

蛋白尿の発現を抑制

カプトプリル

カプトリル

原発性アルドステロン症の診断に使用される

リシノプリルに関しては、慢性心不全患者を対象とした大規模な臨床試験で、心不全による入院が24%低下しました。そのため、循環器疾患に詳しい医師は、このACEIを選択する傾向が強いようです。

【副作用は?】
 最も多い副作用は、空咳です。服用者の約20~30%に見られます。アンジオテンシンIIが減る代わりに、咳を引き起こすブラジキニンという物質が増加するためです。空咳がひどい場合には、ほぼ同じ作用メカニズムを持つARBに切り替えられることが多いようです。一方で、この空咳を逆手に取るケースがあり、それは高齢者の誤嚥性肺炎の予防です。空咳が多くなるということは、それだけ気管内の異物を追い出すように働くことになります。咳をする反応や力が弱まった高齢者に、ACEIを使って咳を誘発し、誤嚥を防ぐという理屈です。そのほかの副作用としては、腎機能低下やカリウム上昇などがあります。

注意
ACEIも、レニン・アンジオテンシン系という一連のホルモンの作用を抑制させるという意味では、ARBと同じ仕組みで血圧を低下させます。そのため、ARBと同じように妊婦さんや胎児に悪影響を与えます。
しかし、ある種の腎臓病など、ACEIやARBが必要不可欠な患者さんが妊娠するケースもあります。その際には、妊娠が判明した時点で服薬を中止すれば、妊娠に関連するリスクは、内服していなかった場合と比較して変わりないことが明らかになっています。
妊娠を希望する高血圧患者さんは、内服する薬について、その必要性と必然性につき、主治医の先生によく聞いてみましょう。

2-4.利尿薬

日本人をはじめとする有色人種は、食塩感受性が高いと言われています。食塩感受性とは、塩分をとった量に応じて血圧が上昇する体質のことです。逆に食塩感受性が低い白人は、塩分をとっても血圧への影響は少ないと言われています。塩分感受性が高いにもかかわらず私たち日本人は、まだまだ塩分をとりすぎています。

厚生労働省によれば、健康な日本人の成人男女が目安とすべき1日の食塩摂取量は男性で7.5 g、女性で6.5 g未満です。さらには、日本高血圧学会が理想とする目標は6 g未満とされ、WHO(世界保健機関)ではこれを5 g未満としています。日本人の平均的な食塩摂取量は現在のところ1日10 g前後ですから、まだまだ減塩の余地はあると言えます。しかしながら、一口に減塩といっても長年の生活にしみついた食習慣を改めるのは容易でなく、まずは、体の外に塩分を排泄する利尿薬に頼りつつ、時間をかけて対策するという戦術をとることも効果的と言えます。

▼塩分を取りすぎている日本人に適した利尿薬
▼海外では、一番多く処方されているが、その理由としては薬の値段が安いこと
▼利尿薬による降圧が、心血管イベントを抑制する証拠は数多い
▼腎機能の善し悪しによって、効果のある利尿薬が異なる
▼糖尿病や痛風を持つ患者さんでは病状を悪化させる可能性があり注意を要する
▼副作用としては、ナトリウムやカリウムなどの電解質異常に注意

【利尿薬の特徴】
歴史が長く、安価であることから、保険による保護が手厚いとは言えない米国や諸外国で広く使われています。そのため、有益性や副作用についてたくさんのデータがあります。ほかのお薬との併用ではもちろんのこと、単独の内服であっても、脳卒中や心筋梗塞などの発症予防効果が証明されています。腎臓から食塩を追い出す作用により血圧を下げますので、塩辛い食事をどうしても好む方には大変有用なお薬と言えます。

もちろん、減塩が出来ればそれに越したことはないし、降圧効果も増強するため、食事には気を付けましょう。日本で広く用いられ、前に説明したARBとの配合剤も多種類用意されています。ARBは、塩分を取りすぎていると効果が弱くなると考えられているため、利尿剤との組み合わせで相加的、相乗的な血圧低下が期待できます。

【主な利尿薬】

成分名
(一般名)

商品名特徴

ヒドロクロロチアジド

ヒドロクロロチアジド

ARBとの配合剤に使われており、世界で最も多く利用されている利尿剤

トリクロロメチアジド

フルイトラン

日本で古くから使われている利尿剤

インダパミド

ナトリックス

ヒドロクロロチアジドやフルイトランに似た利尿剤

糖尿病など代謝に与える影響が少ないとされる

フロセミド

ラシックス

腎機能障害があっても効果を発揮する

低ナトリウム血症や低カリウム血症などの電解質異常を起こしやすい

アゾセミド

ダイアート

緩やかな(徐放)効果を持つループ利尿薬

フロセミドよりも電解質異常をきたしづらい

【副作用は?】
ここでは、サイアザイド系利尿薬についてお話しします。

時に見られる副作用として低カリウム血症、まれに低マグネシウム血症などの電解質異常をきたすことがあります。また、塩分(NaCl)を追い出す目的でつかわれるお薬ですので、当然、低ナトリウム血症が起きることもあります。低カリウム血症は、こむら返りや動悸で自覚することがあります。低ナトリウム血症は、倦怠感など症状としては様々です。内服後に不調を感じたら、処方した医師に相談するようにしましょう。積極的なカリウム摂取は、そもそも血圧を低下させるために有用です。利尿薬による低カリウム血症の予防のためにも、カリウムを多く含む果物や野菜を積極的に摂取すると良いでしょう。

また、糖尿病や高尿酸血症の悪化を引き起こすことがあります。このような合併症をお持ちの患者さんは、受診ごとに血液検査を行って確認する方が良いでしょう。しかし、代謝への悪影響を避けるため、利尿薬は少ない量で用いられることが多くなっており、過剰に心配する必要はないと言えます。また、代謝への影響を考慮すべき降圧薬にβ遮断薬があります。心不全など、重篤な状態にあり必要と判断される場合以外においては、利尿薬とβ遮断薬の併用は勧められていません。

トリクロロメチアジドやヒドロクロロチアジドなどのサイアザイド系利用薬は、腎機能が低下してくると効果が弱くなります。腎機能の目安であるeGFRが30mL/分/1.73m2未満では効果が乏しいため、同じ利尿薬に分類される、フロセミドやアゾセミドを選択することになります。
ごくまれではありますが、光線過敏症をはじめとした皮膚症状は、特にフロセミドやアゾセミドなどループ利尿薬に多いとされています。気になる際には、処方した医師に相談しましょう。

2-5.ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

原発性アルドステロン症という言葉を知っていますか?アルドステロンは、副腎から分泌されるホルモンです。このホルモンは、腎臓に働きかけ、塩分と水分を体の中に保とうとします。利尿薬のところで説明したように、塩分と水分が体に蓄積すると、血液の量が増えますので、血管にかかる圧力すなわち血圧は上昇します。副腎に腫瘍があったり、肥満であったりすると、アルドステロンが過剰になることがあります。このアルドステロンの働きを遮断するのが、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRB)です。

▼利尿薬の一種、カリウムを低下させることなく腎臓からナトリウムを排泄する
▼アルドステロンというホルモンが高い方に良い効果が見込まれる
▼心不全や心筋梗塞を起こしてしまった心臓を保護する効果が証明されている
▼スピロノラクトンには、女性ホルモン作用があるため、特有の副作用に注意
▼効果が高く、副作用が少ない新しいタイプのMRBが登場している

【MRBの特徴】
MRBは、腎臓におけるアルドステロンの作用を遮断し、塩分と水分を尿に追い出すことにより、血圧を低下させます。

降圧薬として用いられてきたMRBですが、重症心不全患者に対して追加投与することにより、予後が良くなることが示され、β遮断薬と並んで、心不全を伴う高血圧の基礎薬と言っても過言ではありません。最近では、軽症心不全に対する試験も行われ、MRBを投与された患者さんの予後が明らかに良かったため、試験が途中で中断されてしまいました。これを研究の早期終了と言い、どちらかの薬が明らかに優れる、もしくは劣ることが判明した時点で試験を打ち切ることを指します。この場合、MRBの投与を受けた患者さんに明白なメリットがあったため、投与を受けない患者さんを救済する意味で中止にされたのです。

従来は、腎臓に働くと考えられていたMRBですが、心臓にもアルドステロンは作用し、心臓を固くする(線維化)など良くない作用を示すと言われています。また、実はかなり多いと言われているアルドステロン過剰(原発性アルドステロン症)は、通常の降圧治療に抵抗性を示すため、MRBを積極的に選択することで見違えるように血圧コントロールが良くなるケースもしばしば経験します。

【主なMRB】

成分名
(一般名)

商品名特徴

スピロノラクトン

アルダクトン

今でも処方されうる古いMRBだが効能効果も確立している

女性ホルモンの働きがある

エプレレノン

セララ

心不全発症後の再発予防に効果があると示されている

エサキセレノン

ミネブロ

最新のMRB

副作用が少なく効果が強い

【副作用は?】
スピロノラクトンは、女性ホルモンとして働いてしまいます。そのため、特に男性では女性ホルモンの作用が女性化乳房、勃起不全などの自覚症状として現れることがあります。エプレレノンとエサキセレノンはステロイド骨格を持ちませんので、そういった副作用がほとんど見られえないようになっています。

2-6.β遮断薬

心臓の筋肉に作用して心拍数を減少させたり、心臓の収縮を調整したりすることによって血圧を低下させます。交感神経の活動が活発な若者の高血圧や、すでに心不全を発症した場合などで積極的に利用することになっているため、高血圧症や循環器疾患に詳しい医師の間で良く処方されています。一方で、糖尿病や脂質異常症に影響を与えることがあり、代謝の面からは服用を慎重にする必要があります。

▼心拍数が早い、若い人の高血圧に効果的です
▼心不全などの心臓病を持っている場合、予後を良くすると考えられています
▼気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、いくつかの疾患では副作用が出やすいため注意が必要です

【β遮断薬の特徴】
β遮断薬は、陰性変力作用を持ちます。陰性変力とは、心臓の収縮力や脈拍数を減らすことを指します。血圧は、心拍出量×末梢血管抵抗で定義されます。心拍出量は、1回拍出量×心拍数です。結果的に、

血圧=(1回拍出量×心拍数)×心拍数

という式で示されます。
つまり、脈拍数を減らすβ遮断薬を用いれば、血圧は低下することが分かります。

一方で、糖尿病や気管支ぜんそくなどの症状を悪化させる可能性があるなどの不利な面があることや、心不全などの心機能低下状態においては、心臓の収縮力や脈拍数を減らす陰性変力作用は理屈から言って良くないのではないかと考えられていました。

しかし近年、β遮断薬は心不全の予後を良くすると認められています。脈拍数を減らすことで心臓の酸素消費量を減らすなど、弱った心臓に鞭を入れずに大切にするというイメージで、すでに心疾患を合併した高血圧症においては、積極的に選択する薬剤となっています。

【主なβ遮断薬】

成分名(一般名)
商品名特徴

商品名特徴特徴

プロプラノロール

インデラル

2つのβ受容体両方を遮断する 甲状腺機能亢進症による交感神経刺激症状に効果的

ビソプロロール

メインテート

心不全への適応あり β1選択的

カルベジロール

アーチスト

心不全にはじめて適応が認められた α遮断作用もある

【副作用は?】
交感神経によって調節されている臓器に影響を与えるため注意が必要です。気管支喘息やCOPDでは、むしろβ受容体を刺激する治療を行うため、反対の作用を持つβ遮断薬は病状を悪化させ呼吸困難を誘う可能性があります。
糖や脂質の代謝に悪影響を及ぼすと考えられており、糖尿病や高脂血症の患者さんへの投与には消極的になります。

2-7.α遮断薬

交感神経の働きを遮断することにより血管を拡張します。朝の高血圧に使われることがあります。

【α遮断薬の特徴】
交感神経から放出されるカテコラミンというホルモンの作用を遮断します。交感神経が活性化する朝の血圧上昇が目立つ場合、就寝前に少量のドキサゾシンを使用することがあります。このような本態性高血圧で用いられる量は、1㎎から4㎎程度です。0.5~1㎎刻みで少しずつ増やしていくことにより副作用を回避するようにします。

また、褐色細胞腫という稀な腫瘍による高血圧を治療するためにも使われます。この場合、最高用量の16 mg まで段階的に増量します。

【現在使われるα遮断薬】
▼プラゾシン/ミニプレス:
 最初のα遮断薬 
 降圧薬として用いられることは今やほとんどない 
 前立腺肥大症など他の治療薬として使われるケースはある

▼ドキサゾシン/カルデナリン:
 早朝高血圧の治療に使われることがあります

【副作用は?】
交感神経による血圧調節作用を遮断するため、起立性高血圧という、急な体位の変化に伴うめまい、動悸、失神などがあり得ます。必要に応じて1㎎ずつ増量することや、高齢者への投与を慎重にすることなどで対処します。

2-8.中枢作用性薬

世界で初めて開発された降圧薬が含まれます。

▼主要な薬剤を用いても、降圧目標に到達しない場合に使用が考慮されます
▼メチルドパは、妊娠中の高血圧に使用が勧められています
▼早朝の高血圧を抑制する目的でも用いられます
▼副作用は多様であり、服薬後の症状に気を配る必要があります

【中枢作用性薬の特徴】
歴史の長い降圧薬ですが、処方される機会は少なくなっています。メチルドパは、妊婦さんへの安全性が古くから証明されており、妊娠高血圧腎症に対して積極的に使用されています。

【主な中枢作用性薬】

成分名(一般名)
商品名特徴

商品名特徴特徴

メチルドパ

アルドメット

妊娠高血圧症候群に対して、現在においても第一選択薬とされています

ヒドララジン

アプレゾリン

めったなことで使用されることはありませんが、注射剤は高血圧緊急症の適応があります

【副作用は?】
眠気、口渇など、神経系に作用する薬剤のため副作用が多く、通常他剤を用いることができない場合や多剤併用でも血圧コントロールが困難な場合に追加で使用されます。

3.降圧薬での治療の始め方

3-1.最初に投与すべき治療薬「第一選択薬」について

第一選択薬とは、高血圧の治療を初めて導入する際には、このタイプの薬から始めましょうと推奨されているお薬のことです。高血圧治療ガイドライン2019によると、このコラムで説明したCCB、ARB、ACE阻害剤、利尿剤の4種類が第一選択薬とされています。

JSH2019 表5-2

表:JSH2019 表5-2

すでに説明したβ遮断薬は、他の4剤に比べて、糖尿病を引き起こす恐れなど代謝面での不利益、他剤と比較した場合に降圧力以外にも劣る面が見られることなどから、第一選択薬とはされておりません。日本の現状を踏まえると、CCBまたはARBから治療を開始し、降圧が不十分な場合に利尿薬を積極的に利用するというメソッドが一般的と思われます。

3-2.病状によって使用が推奨される薬

JSH2019 表5-1
表:JSH2019 表5-1

上記で示した「第一選択薬」は、合併症のない単なる高血圧において最初に用いられるべき薬剤です。表に示したような特別な病状がある場合、最初に選ぶべきお薬も変わってきます。特に、β遮断薬は最初に選ばれがたいという説明をしましたが、心不全、頻脈、狭心症、心筋梗塞後では、時に高血圧の有無にかかわらず最初に投与を考慮する薬剤です。その他、蛋白尿にはARBやACEI、狭心症にはCCBなど、合併症によって積極的に使用が推奨されるケースがあります。

3-3.こんなケースではこの薬はNG(禁忌)

禁忌という言葉をご存じでしょうか?デジタル大辞泉には、以下のように説明されています。

1.忌(い)み嫌って、慣習的に禁止したり避けたりすること。また、そのもの。タブー。「—を破る」
2.人体に悪影響を及ぼす危険がある薬剤の配合や治療法を避けて行わないようにすること。

病気の治療においては、2の意味でつかわれます。では、それぞれの降圧薬について、禁忌と慎重な利用についてこちらにまとめておきます。

特に注意が必要なのは、ARBとACE阻害薬に記載されている「妊娠」であることは、それぞれの説明で述べた通りですが、あえて投与が必要な若い女性もいらっしゃいます。でも安心してください。改めてのお話になりますが、妊娠が確認できた時点でなるべく早くARBとACEIを中止すれば、問題がないとわかっています。妊娠を希望される女性が高血圧治療に望む際には、薬についての注意を医師や薬剤師からしっかり聞き取るようにしましょう。

3-4.配合剤とは?

2006年12月は、日本の高血圧界においてきわめて重要な転換点です。ARBのロサルタンと、利尿薬のヒドロクロロチアジドが1錠にまとめられた配合剤が登場したのです。高血圧を理想的にコントロールするには、少なくとも2-3剤の併用療法が必要であることは専門家の間で周知となっていました。

しかし、降圧薬が1つ、2つと増えていくことは、患者さんの不安をあおることになるうえ、正確に服薬できないなどのデメリットがあります。この配合剤を用いることにより、1錠で2錠分、3錠分、場合によっては4錠分の投薬を行える、投薬を受けることが出来るのです。

日本では、ARBと利尿薬、ARBとCCBの2剤配合剤、さらにはARBとCCBと利尿薬の3剤配合剤が利用できます。種類だけでなく、含まれる用量も様々ですので、一言に配合剤と言っても、強い弱いという単純な話ではありません。どうしてその配合剤の内服が必要なのか、主治医の先生に聞いてみるのも良いでしょう。

そして、配合剤には隠されたメリットがあります。それぞれ別々に処方を受けるより、薬価が安くなるのです。場合によっては、追加される前の薬価を下回る負担になる(A薬剤130円+B薬剤60円=合計190円になるはずが、A薬剤+B薬剤の配合剤=120円:元のA薬剤よりも安い)ことがあるのです!ジェネリック薬ならなおさらです。配合剤が必要であると主治医が判断された場合には、患者さんも積極的に検討して良いように思います。

4.降圧薬を卒業する未来のために

降圧薬は一生飲み続けなければいけないもの?
「降圧薬を始めたら、一生やめられないと聞いたので飲みたくないです」というお話をよくいただきます。
それは誤解であり、高血圧の原因となっている生活習慣を修正することにより、お薬をやめることは可能です。

むしろ、お薬の開始を先延ばしして、血管の状態を悪くしてしまうと、薬に頼らざるをえなくなってしまいます。早めにお薬を開始して、安全かつ動脈硬化を進行させない血圧に調節しておきつつ、減量、運動、減塩などの対策を行えば、お薬を減量したり、やめたりすることが出来るようになります。

血圧を下げる食べ物についてもまとめていますので、是非参考にしてください。

5.高血圧の治療・お薬について不安がある方は是非一度ご相談ください

「降圧剤についてきちんと理解したいが、文章を読んでもよくわからない」「専門医に高血圧の薬について相談したい」という方は、是非、高血圧の専門知識の高い医師に無料で相談ができる「高血圧イーメディカル」をご活用ください。

5-1.高血圧イーメディカルとは

高血圧イーメディカルとは、最初は無料で医師に高血圧治療の相談ができるサービスです。その後、ご希望の方には血圧のモニタリングや、医療チームとのチャットでの相談、治療サポートを行います。
同じサービス内で必要があればオンラインでの診療、お薬の処方まで対応することも可能です。

5-2.まずは無料で高血圧の専門知識を持った医師に相談

Webサイト、LINE、専用アプリなど、お好きなツール経由で医師とのオンライン無料相談が予約できます。
最短翌日予約がカレンダーの空き枠を選んで即時予約が可能です。
日程調整のお電話、メールのやりとりなどが不要なため簡単に予約をとることができます。
相談自体もオンラインで行うため、通院なども不要です。

5-2.お薬の処方無しの「モニタリングプラン」の特徴

「高血圧の治療でいきなりお薬は…」とお思いの方も、まずは薬を服用せずに血圧データを医療チームと連携しながら、運動療法/食事療法なので改善していくためのサポートができる「モニタリングプラン」をご用意しています。
まずは自分の血圧の傾向を見える化して、医療の専門チームと一緒に数値の改善をしていくことが可能です。

5-3.お薬が必要な方には、普段の血圧モニタリングに基づいて最適な治療の提案

モニタリングをしながら数値の改善を試みた結果、どうしても数値が下がらない場合は過去の経過も含めての治療計画、お薬の処方が可能です。
すべて同じサービス内、かつ医療チームで対応します。

6.まとめ

「高血圧」の研究はやっとここ100年で進み、概念が目まぐるしく変わっています。まずは正しい情報を身に着けましょう。

降圧薬は、安全性が高く、非常に広く使われている有効性の高いお薬です。医師が正しい判断により処方を判断した場合、嫌がることなく内服した方がよいお薬と言えるでしょう。心配な方は、是非今回詳しく解説した「降圧薬一覧」でご自分が処方されているお薬について勉強してみてください。

最後にワンポイント、今の降圧薬は1日1回の服薬ですむものがほとんどです。特にCCBの中でもニフェジピンCRとアムロジピンの作用時間は本当に長いため、朝1回の指示であっても、飲み忘れたら昼、また忘れたら夜、更に忘れたら次の日の朝から心を新たに内服開始で全く問題ありません。

私は高血圧でお悩みの皆さんに対して、降圧薬を「安心してお付き合いできる人生のパートナー」としておすすめしています。根本治療をしていく際の、サポートとして上手に活用していきましょう。

出展:
1) 医療薬学 43(1) 9―17 (2017)
2) 高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)
3) アダラートJP https://www.adalat.jp/ja/home/
4) 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail825.html

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※2アムロジピン(アムロジン、ノルバスク)、ニフェジピン(アダラートCR)、配合剤(例:アムバロ、テラムロ、カムシア、イルアミクス)など

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