高血圧によりリスクが高まる病気(合併症)とは?放置してはならない理由も

監修者

【監修】谷田部 淳一

チーフメディカルディレクター・ 医師・医学博士

「高血圧はどうして放置してはいけない?」
「具体的にどんな病気のリスクが高まるの?」

高血圧を放置してはならないのは、脳や心臓などの病気(合併症)を引き起こすリスクが高まるためです。これらの病気のリスクを高めないためには、早い段階から高血圧の管理を始めることが大切です。

本記事では高血圧の概要をはじめとして以下を解説します。

● 放置してはならない理由
● 発症するリスクが高まる病気
● 高血圧の原因とその対策

高血圧が体に及ぼす影響や、リスクが高まる病気などの理解を深めるために役立ててください。

1.そもそも高血圧ってどんな病気?

高血圧とは以下のように基準値よりも血圧値が高い状態のことです。

● 診察室血圧:140/90mmHg以上
● 家庭血圧:135/85mmHg以上

また、高血圧は以下の2つに分けられます。

種類

原因

本態性高血圧

食生活や遺伝などさまざまな要因により引き起こされる高血圧。8〜9割が本態性高血圧である。

二次性高血圧

腎臓の障害やホルモンの病気など、何らかの病気が原因で引き起こされる高血圧。原因となる病気を治療すれば高血圧が治癒または改善される場合がある。

2.高血圧を放置してはならない理由

血圧は、高いほど動脈硬化(血管が硬く狭くなること)が進行し、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まります。診察室血圧が130/80mmHg以上の方は、まず生活習慣の改善を積極的に行い、状況によっては薬物療法も検討しなければなりません。

また、正常値高血圧の範囲である120/80mmHgを超えてくると、脳や心臓への負担がかかりやすくなります。高血圧と診断されるほどの血圧値ではなくても、体に影響は及び始めるということです。

高血圧の治療を始めるのに早すぎるということは決してありません。早めに治療を始めて、高血圧が引き起こす病気のリスクをできるだけ低くすることが大切です。

出典:日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019

3.高血圧を放置すると、どんな病気(合併症)のリスクが高まるのか

高血圧は以下のような病気を引き起こすリスクを高めます。

● 狭心症
● 心筋梗塞
● 心不全
● 不整脈
● 脳梗塞
● 脳出血
● くも膜下出血
● 大動脈瘤
● 大動脈解離
● 腎不全
● 眼底出血

以上の中には命に関わる病気もあります。高血圧は自覚症状がほとんど現れないため危機感を持ちづらいですが、健康診断などで「血圧が高め」と指摘された段階から血圧を下げることが大切です。

また、糖尿病や脂質異常症なども上記に挙げた病気を引き起こす原因です。高血圧だけでなく生活習慣病全般の治療を進めることも重要です。

ここでは、高血圧を放置すると引き起こすリスクが高まる病気や症状の詳細を解説します。

3-1.狭心症 

狭心症とは、心臓の重要な血管が狭くなることで、心臓に十分な血液や栄養が届かなくなる病気です。高血圧により動脈硬化が進行することで発症します。症状の特徴は、階段・坂道などを登った際に現れる、胸の中心部が締め付けられるような痛みや苦しみです。

一般的に安静にすると症状は落ち着きます。症状が出現する頻度が増えたり、持続時間が長くなったりする不安定狭心症は、心筋梗塞の一歩手前です。速やかに医療機関を受診してください。

3-2.心筋梗塞 

心筋梗塞とは、心臓の重要な血管の血流が完全に途絶えてしまう病気です。動脈硬化が進行することで発生する粥腫(じゅくしゅ:コレステロールの塊のようなもの)や、血栓(血の塊)により血管が閉塞してしまいます。

発症すると、胸に突然、強烈な痛みや焼けるような痛みが現れます。このような症状が現れた際は、速やかに救急車を要請して医療機関に搬送してもらってください。心筋梗塞は突然死の原因になるため、何よりも心筋梗塞にならないよう努めることが大切です。

関連記事:なぜ高血圧は心筋梗塞のリスクを高める?見逃してはならない症状を医師が解説

3-3.心不全

心不全とは、血液を全身へ送り出す心臓のポンプ機能が低下する病気です。高血圧の人は通常よりも心臓に負担がかかっている状態で、次第に対応できなくなり心臓の機能が低下していき心不全になります。

心不全になると、以下のような症状が現れます。

● 息切れ
● 尿量の減少
● 足の甲やすねのむくみ
● 体重増加

疑われる症状が現れている方は、速やかに医療機関を受診してください。

3-4.不整脈 

血圧の上昇は心臓のリズムの乱れである不整脈を誘発します。特に心臓の部屋の一部が痙攣する心房細胞という不整脈を発症するリスクが高まります。

心房細動の症状は以下の通りです。

● 動悸
● 胸の不快感
● めまい
● 息切れ
● 体のだるさ

自覚症状が現れない方もいます。また、心房細動による血流のよどみが、脳梗塞の原因になる血栓を作る恐れもあります。脳梗塞の原因の2〜3割が心房細動であると考えられています。疑われる症状が現れた際は、放置せず医療機関を受診してください。

3-5.脳梗塞 

脳梗塞とは何らかの原因で脳の血管が閉塞して、脳細胞が死滅してしまう病気です。発症部位によって、言語障害や手足の麻痺などの後遺症が発生する場合があります。高血圧により脳の血管に動脈硬化が進行すると、発症するリスクが高まります。

脳梗塞は発症部位により症状が異なりますが、わかりやすい症状は以下の通りです。

● 顔の片方がゆがむ
● 片腕に力が入らない
● ろれつが回らない

これらに一つでも該当する場合は、脳梗塞を引き起こしている恐れがあります。後遺症を残さないようにするための治療は時間との戦いです。自分または周囲の人に疑われる症状が現れたら、迷わず速やかに救急車を要請してください。

3-6.脳出血 

脳出血は脳の血管が破れる病気です。高血圧により動脈硬化が進行して、脳の血管がもろくなってしまうことで発症しやすくなります。

脳出血も発症部位により症状は異なりますが、脳梗塞と同様の症状が現れます。自分または周囲の人に疑われる症状が現れたら、迷わず速やかに救急車を要請してください。

3-7.くも膜下出血 

くも膜下出血とは、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)が破れることで発症する病気です。脳動脈瘤とは、脳血管の枝分かれ部分がコブのように膨らんだ状態のことです。

原因は明らかになっていませんが、高血圧や喫煙、加齢、遺伝などが関係すると考えられています。発症すると激しい頭痛や意識障害、嘔吐などの症状が現れます。脳動脈瘤が破れてしまうと約半数が死亡し、残りの半数は重い後遺症が出て社会復帰が難しくなる病気です。

予防するには、定期的に脳ドックを受けて未破裂の脳動脈瘤を発見および治療する、または原因と考えられる高血圧等を早い段階から改善することが大切です。

3-8.大動脈瘤

大動脈瘤とは、胸部から腹部にかけて存在する人間の体で最も太い大動脈の一部が、コブのように膨らんだ状態です。コブができる原因は高血圧や喫煙、ストレスなどです。

多くの場合は、自覚症状が現れずに大きくなります。胸部の大動脈瘤が急激に大きくなっている場合は、以下のような症状が現れることがあります。

● 胸部や背部の痛み
● 血の混じった痰
● 息苦しさ
● 食べ物の飲み込みにくさ

これらの症状が現れている場合は、破裂が間近に迫っている恐れがあります。速やかに医療機関を受診してください。

3-9.大動脈解離

大動脈解離は、大動脈の内側にある膜が何らかの原因で破れ、破れた箇所に血液が流れ込み大動脈内に2つの通り道ができる病気です。発症する原因は高血圧や喫煙、ストレスなどです。

大動脈解離の多くは、何の前触れもなく突然に背中や胸の激痛とともに発症します。発症した直後は、血管の一番外側の膜が薄くなり破裂しやすい状態です。

発症後、1時間に1%ずつ死亡率が上昇すると言われており、48時間以内には半分の患者さんが亡くなってしまう恐れがあります。疑われる症状が現れたら、一刻も早く救急車を要請して医療機関を受診する必要があります。

3-10.腎不全 

高血圧は放置すると腎臓の老廃物を濾過する機能を低下させます。腎臓の細い血管にも動脈硬化が進行して、腎硬化症を引き起こすためです。

腎硬化症は自覚症状がほとんど現れません。尿や腎機能の検査では異常が認められる場合があります。腎硬化症から腎不全に至る前に、適切な血圧の管理を始めることが大切です。

3-11.眼底出血 

高血圧を放置すると、目の奥にある網膜などに出血を引き起こす恐れがあります。動脈硬化により目の中の血管が閉塞したり、もろくなったりするためです。網膜に出血が起きた場合は、以下のような症状が現れることがあります。

● ぼんやりとかすみ薄暗く見える
● 一部明るい部分と薄暗い部分が混在して見える

眼底出血は重症の高血圧を示唆しており、脳や心臓の病気のリスクと関連しているとの報告もあります。疑われる症状が現れている場合は医療機関を受診してください。

出典:日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019

4.高血圧を引き起こすリスクを高める7つの原因とその対策

高血圧を引き起こす原因は以下のようなものが挙げられます。

● 塩分の摂り過ぎ
● 肥満
● 運動不足
● 飲酒
● ストレス
● 加齢
● 遺伝

それぞれの詳細とその対策について解説します。

4-1.塩分の摂り過ぎ

日本人の高血圧の原因で多いのが塩分の摂り過ぎです。塩分を摂り過ぎると必ずのどが渇きます。体の中のナトリウムと水分量を調整するためには水を飲まざるを得ませんが、それにより血液量が増えてしまい、多くの方は血圧が上昇してしまうのです。

日本高血圧学会は1日の減塩目標値を6g未満としています。減塩のポイントは「麺類の汁は残す」「塩分の少ない調味料を使う」「外食や加工食品は避ける」などが挙げられます。

また、取りすぎた塩分の排泄を促すためには、カリウムを多く含む食品を積極的に摂取するといいでしょう。果物や野菜などがその代表です。ただし、すでに腎機能障害を生じている方などではカリウムの過剰な摂取にも注意が必要ですので、そのような場合は医師に相談してください。

4-2.肥満

肥満と高血圧の関連性は明らかにされています。実際にBMI25〜29.9である場合は、高血圧の発症リスク1.5〜2.5倍であると報告があります。BMIとは、肥満度を示す指標のことで、25以上が肥満とされています。BMIは、体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で計算できます。

血圧が高めでBMI25以上である方は、血圧の改善とともに肥満の解消も目指してください。肥満を改善するために、食生活を見直して適度な運動も取り入れましょう。

4-3.運動不足

運動不足は高血圧と密接な関係があります。実際に適度な運動は、収縮期血圧を2〜5mmHg、拡張期血圧を1〜4mmHgの低下が期待できると報告があります。

有効とされている運動は以下の通りです。

● ウォーキング
● ステップ運動
● ランニング

運動は1回につき最低10分以上、合計して1日40分以上を目指しましょう。また、最近の研究では、筋トレにも血圧を下げる効果があることが示されています。どのような形でも、運動不足の解消を心がけると良いようです。

4-4.飲酒・喫煙

飲酒と喫煙は高血圧の原因です。お酒を飲んだ直後は血圧の低下が見られますが、長期間の飲酒は血圧の上昇につながります。タバコには強力な血管の収縮作用があり、血液の流れを悪くして血圧を高めてしまいます。

アルコール量は、男性1日20〜30ml以下(ビール中瓶1本分)、女性1日10〜20ml以下にしましょう。タバコは禁煙を目指してください。

4-5.ストレス

心理的・社会的ストレスにさらされると、高血圧の発症率が2倍以上高まると報告があります。ストレスを感じると、交感神経の働きが優位になり、血圧が上昇してしまうのです。

ストレスは職場や家庭において発生することが多いです。趣味や運動、休息などの余暇活動により、ストレスをためないように心がけましょう。

4-6.加齢

加齢により血管は、自然と弾力性を失っていき動脈硬化が進行します。その結果、血圧が上がってしまいます。加齢による動脈硬化は止めることができません。

しかし、ここまで解説した減塩や肥満改善、運動不足の解消などによって、動脈硬化の進行を遅らせることは可能です。「加齢と生活習慣の乱れによる動脈硬化の進行」という悪循環を起こさないようにしましょう。

4-7.遺伝

本態性高血圧は、生活習慣のほかに遺伝的な要因も関係しています。日本人は食塩感受性を高める遺伝子をもつ方が多いです。食塩感受性が高いと、食塩の摂取により血圧の上昇がしやすくなります。

逆に言えば、遺伝的に高血圧になりやすい人は、減塩をはじめとする生活習慣の改善が役立つ可能性があると考えられます。

出典:日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019

5.「高血圧イーメディカル」は自宅にいながら血圧管理が可能

高血圧e-メディカル

当社が提供している「高血圧イーメディカル」であれば、自宅にいながら血圧管理ができます。自宅だけでなく、仕事中の車の中からでも診察を受けられるため「忙しくて通院ができない」という方に適しています。

イーメディカルの特徴は以下の通りです。

● 血圧計の無料貸出でいつでも血圧を測定できる
● 医療チームが血圧値を共有するため安心できる
● 不安や疑問はいつでも相談できる
● 薬を自宅まで郵送できる
● 保険適用で利用できる

それぞれの詳細を解説します。

5-1.血圧計の無料貸出でいつでも血圧を測定できる

イーメディカルでは、プランをご契約いただいた方全員に、無料で血圧計の貸出を行っています。医師も推奨する1台約18,000円のオムロン製の血圧計です。腕帯(カフ)を正しく巻けたかチェックしてくれる機能もあるので、血圧計を使い慣れていない方でも正確に測定できます。

5-2.医療チームが血圧値を共有するため安心できる

測定した血圧値は、自動で専用のアプリと連携され専門スタッフに共有されます。あなたの血圧を常に見守ってくれる心強い存在となるはずです。異常値が出ると専門スタッフがすぐに対応をしてくれます。

5-3.不安や疑問はいつでも相談できる

「いつもより血圧が高い」「生活習慣は変えていないのに血圧が高め」など、不安なことが少しでもあれば、チャットから無料で医師や看護師に相談できます。ちょっとしたことでも気軽に相談できるので、安心して血圧管理を行っていけるでしょう。

5-4.薬を自宅まで郵送できる

薬の処方が必要な方には、オンライン診察の後に郵送でご自宅まで薬をお届けしています。「薬局に足を運ぶことなく必要な薬が手元に届くので便利」と好評です。ただし、別途郵送料がかかる場合があるため注意してください。

5-5.保険適用で利用できる

イーメディカルはオンライン診療の利用を支援するサービスですが、診療には健康保険が適用されます。そのため、診察費や薬代も対面の診察とほとんど料金が変わりません。

関連記事:

高血圧のオンライン診療とは?メリット、受診の流れ、費用などを解説

 

6.まとめ

高血圧は放置すると動脈硬化が進行して、心筋梗塞や脳梗塞などの生命に関わる病気のリスクを高めます。これらのリスクを高めないためには、健康診断などで「血圧値が高め」と指摘された早い段階から血圧を改善することが大切です。

「オンライン診療ってどんな感じ?」とお悩みの方も、まずはお気軽に無料オンライン相談をお試しください。高血圧を専門としている医師が、高血圧やオンライン診療に関する疑問にお答えします。

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