「コレステロールを下げる薬にはどのような種類のものがあるの?」
「薬によって何か違いはあるの?」
このようなお悩みを抱えていませんか?コレステロールが基準値を外れた場合、薬を服用して値をコントロールしていくことがあります。しかし、コレステロールの薬は一種類だけではありません。いくつか種類があり、それぞれに違った特徴があります。
今回は、コレステロールを下げる薬の種類や特徴、コレステロールが高くなる原因や影響などについて詳しく見ていきましょう。
目次
1.コレステロールを下げる薬の種類
コレステロールのうち、悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールが基準値を超えている場合は、治療目標未満におさまるように下げる必要があります。LDLコレステロールを下げる代表的な薬は、次のとおりです。
1-1.スタチン系製剤
スタチン系製剤は、HMG-CoA還元酵素を阻害することでコレステロールの合成を抑えます。HMG-CoA還元酵素は、コレステロールを合成するのに必要な酵素のことです。スタチン系製剤にはいくつか種類があり、種類によってコレステロールをどれくらい下げられるのかが異なります。
実は、スタチンを世界で初めて発見したのは日本人です。日本初のお薬が、世界中で心筋梗塞の発症や再発を食い止めていると考えると感慨深いです。
〈おもな薬の名前〉
• クレストール(ロスバスタチン)
• リバロ(ピタバスタチン)
• リポバス(シンバスタチン)
• リピトール(アトルバスタチン)
• ローコール(フルバスタチン)
1-2.小腸コレステロールトランスポーター阻害剤
小腸コレステロールトランスポーターを阻害することで、小腸においてコレステロールが吸収されるのを阻害する薬です。
小腸コレステロールトランスポーターは、小腸でコレステロールを吸収する役割をもっています。これを阻害することで、食事や胆汁由来のコレステロールが血液中に移行するのを抑えることが可能です。
こちらは、LDLトランスポーターの発見というノーベル賞が端緒となって開発されたお薬です。先に述べたスタチンのようにLDLを下げるという同じ働きを持っていても、スタチンは体内での合成を止める、エゼチミブは体内への吸収を止めるという違う作用によることから、両方飲むことで副作用を増やさず相加的な効果が期待できます。そのため、これらを1錠にしたスタチンとエゼチミブの配合剤もあります。
〈おもな薬の名前〉
• ゼチーア(エゼチミブ)
• ロスーゼット(ロスバスタチン+エゼチミブ)
• アトーゼット(アトルバスタチン+エゼチミブ)
• リバゼブ(ピタバスタチン+エゼチミブ)
1-3.陰イオン交換樹脂製剤
陰イオン交換樹脂製剤は、体外にコレステロールを排出するのを促進します。コレステロールの原料となる胆汁酸と結合し、小腸でコレステロールが再吸収されるのを防いで胆汁酸の排出を促すものです。
胆汁酸の排出が増えると肝臓のコレステロールが減り、その結果、血液中のコレステロールが肝臓に取り込まれるため血中のコレステロールが減少します。
〈おもな薬の名前〉
• クエストラン(コレスチラミン)
• コレバイン(コレスチミド)
1-4.ニコチン酸誘導体製剤
中性脂肪の分解を促進すると共に、LDLコレステロールの排泄も促す薬です。同時にHDLコレステロールを増やす働きももちます。ニコチン酸はビタミンの一つであるため、大きな副作用はあまり見られません。
〈おもな薬の名前〉
• ユベラN(トコフェロールニコチン酸エステル)
• コレキサミン(ニコモール)
• ペリシット(ニセリトロール)
1-5.プロブコール製剤
プロブコール製剤は、LDLコレステロールの酸化を防ぎ、さらに数も減らしてくれる薬です。胆汁中へコレステロールの排泄を促すことで、コレステロールを減少させます。
ただし、善玉コレステロールと呼ばれているHDLコレステロールまで減らしてしまう点がデメリットです。トリグリセリドを低下させる働きもありますが、こちらは個人差が大きいと言われています。
〈おもな薬の名前〉
• シンレスタール(プロブコール)
• ロレルコ(プロブコール)
1‐6.PCSK9阻害薬
PCSK9阻害薬は、家族性高コレステロール血症の治療薬です。家族性高コレステロール血症とは、血液中のLDLコレステロールが生まれつきの体質で増えてしまうものを指します。PCSK9阻害薬は、LDL分解受容体分解促進タンパク質であるPCSK9に働きかけ、LDLコレステロールを低下させる薬です。
〈おもな薬の名前〉
• レパーサ(エボロクマブ)
2.そもそもコレステロールとは?
コレステロールと聞くと、体にとって悪いものだとイメージされる方が多いでしょう。しかし、コレステロールは誰の体にも存在する物質です。また、コレステロールの種類によっても体に良いのか悪いのかが異なります。
2-1.コレステロールは体にとって必要なもの
コレステロールは、体にとってなくてはならないものです。人間の細胞膜やホルモン、胆汁酸を作るために必要となります。コレステロールのうち、2~3割は食事などから取り入れられるものです。残りの7~8割は糖や胆汁酸から作られます。
2-2.コレステロールの種類
コレステロールには、大きくわけてLDLコレステロールとHDLコレステロールの2種類があります。LDLコレステロールは悪玉コレステロールとも呼ばれており、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割をもつものです。
LDLコレステロールが増えすぎると、血管の弾力性が失われて動脈硬化を起こし心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを発症する恐れがあります。
一方でHDLコレステロールは、善玉コレステロールと呼ばれているものです。HDLコレステロールには、全身にある余分なコレステロールを回収する働きがあります。血管壁に溜まったコレステロールを取り除いて肝臓に戻すため、動脈硬化を発症することがありません。むしろ、動脈硬化を予防してくれるのです。
2-3.コレステロールの基準値
コレステロールの値が基準から外れた状態を脂質異常症と言います。脂質異常症かどうかを判断する基準値は、次のとおりです。
LDLコレステロール | 140 mg/dL以上 |
HDLコレステロール | 40 mg/dL未満 |
LDLコレステロールの場合は増えすぎると動脈硬化のリスクが高まるため、基準値を超えると脂質異常症と診断されます。一方でHDLコレステロールは、減りすぎることが問題です。基準値を下回ると値の改善が必要になります。
ただし、上記の基準値を外れているからといって、すぐに薬を使った治療が必要になるわけではありません。生活習慣や食生活の見直しを行い、それでも効果がなければ薬物治療が検討されます。
3.コレステロールが高くなる原因は?
「コレステロールが高めです」と健康診断で指摘され、「なぜ高くなったのだろう?」と疑問に思う方が多いのではないでしょうか。とくに不摂生をしたわけでもないのに指摘される方もいるかと思います。
LDLコレステロールはさまざまな要因によって値が変化するものです。ここではLDLコレステロールが高くなるおもな原因について見ていきましょう。
3-1.飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂り過ぎ
LDLコレステロールが増える原因となりやすいのが、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸です。飽和脂肪酸は肉やラード、乳製品などに多く含まれています。重要なエネルギー源ではあるものの、摂りすぎるとLDLコレステロールが増加してしまうのです。
トランス脂肪酸はマーガリンや加工油脂に多く含まれています。ケーキやスナック菓子に多いため、これらの食べ過ぎには要注意です。
3-2.肥満
肥満はエネルギーとして使われなかった脂肪が過度に蓄積した状態です。LDLコレステロールの合成を促す働きのある中性脂肪を増やすため、肥満もLDLコレステロールを上げる原因となります。BMIが25以上になると肥満と診断されますので、まずは標準体重とされるBMI22を目指して体重を落としていきましょう。
3-3.ホルモンの異常
コレステロール代謝に影響するホルモンの異常で、特に多いのは甲状腺ホルモンの異常です。甲状腺ホルモンが低下する橋本病などでは、コレステロールの上昇がみられます。逆に、分泌が上昇するバセドウ病などでは、コレステロールは低下します。
また、ストレスや生活習慣などによってホルモンバランスが乱れると、LDLコレステロールが上がることがあります。さまざまなホルモンに、脂質代謝を調整する働きがあるため、バランスが乱れることでうまくコントロールできなくなってしまうのです。
3-4.遺伝
LDLコレステロールが上がりやすい体質の方もいます。合成される量が多かったり消費量が少なかったりと、上がりやすくなる原因は人それぞれです。親が脂質異常症の場合は、子どももLDLコレステロールの値が高くなりやすいと言われています。
中でも、特に注意が必要な遺伝性疾患として、家族性高コレステロール血症(FH)があります。LDLコレステロールが180 mg/dlを超えると疑いが出てきます。特に、血のつながった家族で50歳ぐらいのうちに心筋梗塞などの心血管病で亡くなった方がいる場合は危険であり、FHを考える必要があります。
子供のころからコレステロールが高い、ホモ接合体と言われる遺伝子異常の場合には、絶対に治療が必要となるため、心当たりの方はぜひ医師に相談してください。
4.コレステロールが高い状態が続くとどうなるの?
コレステロールが高い状態が続くと、血管の弾力性が失われて動脈硬化が起こります。動脈硬化が起こると、冠動脈が細くなって心臓への血液供給量が減る狭心症、血液が詰まることで冠動脈への血流が途絶える心筋梗塞などを起こしやすくなるため注意が必要です。
LDLコレステロールが高くなっても自覚症状がないことがほとんどですが、じわじわと体が蝕まれているため早めの対処が必要となります。
5.薬以外でコレステロールを下げる方法
LDLコレステロールは、薬を使わないで下げることもできます。薬物治療を始める前に、まずは下記のことを実践してみましょう。
5-1.摂取カロリーを適切にする
肥満の方はLDLコレステロールが増えやすくなるため、適正な体重を維持するためにも摂取カロリーを適切にする必要があります。消費カロリーが摂取カロリーを上回れば体重は落ちますので、まずは摂取カロリーの見直しを行いましょう。
5-2.飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を摂り過ぎない
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は、LDLを増やす原因です。脂身の多い肉やラード、バターやマーガリンなどを摂りすぎないように注意しましょう。
5-3.コレステロールが多い食べ物を避ける
LDLコレステロールは、食事から摂取することでも上昇します。肉よりも魚や大豆を選び、コレステロールを摂りすぎないようにすることが大切です。コレステロールが多い食品としては次のものが知られています。
食品名 | 100 gあたりのコレステロールの量 |
卵黄(ゆで) | 1,200 mg |
かずのこ(乾) | 1,000 mg |
ピータン | 680 mg |
干しエビ | 510 mg |
豚(スモークレバー) | 480 mg |
6.コレステロールなら「高血圧イーメディカル」にお任せ!
「コレステロールが気になってはいるけど、どうしたら良いのかわからない」
「コレステロールが高めと指摘されたけど、何かするべきなの?」
このような疑問をおもちの方は、ぜひ高血圧イーメディカルをご活用ください。
6-1.脂質異常症の専門医が在籍
高血圧イーメディカルには、脂質異常症についての専門知識をもつ「日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医」の資格を持つ医師が在籍しています。どうしたらコレステロールを下げられるのか、何か治療が必要なのかなどを必要に応じて判断してくれるため、安心して治療を任せることが可能です。
6-2.オンライン診療だから忙しい方でも受診できる
高血圧イーメディカルは、オンライン診療に特化しています。そのため、診察から薬の処方まで自宅で完結するのが大きなメリットです。
「コレステロールが気になるけど受診する時間がない」という方でも、気軽に診察を受けられます。薬が必要な場合は、ご自宅まで郵送していますのでご安心ください。
7.まとめ
LDLコレステロールを下げる薬には、次のようなものがあります。
• スタチン系製剤
• 小腸コレステロールトランスポーター阻害剤
• 陰イオン交換樹脂製剤
• ニコチン酸誘導体製剤
• プロブコール製剤
• PCSK9阻害薬
LDLコレステロールの値や状態に合わせて適した薬を選ぶことが基本です。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂りすぎ、肥満、ホルモンバランスの乱れなどが原因でLDLコレステロールが上がるので注意しましょう。
LDLコレステロールについて少しでも不安がある方は、ぜひ高血圧イーメディカルにご相談ください。経験豊富な医師がしっかりとあなたの健康を守ります。