
「高血圧が心筋梗塞を引き起こすってほんと?」
「心筋梗塞につながる症状などはある?」
高血圧を放置すると、動脈硬化(血管が硬く狭くなること)が進行して、心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。高血圧は一般的に初期段階では自覚症状が現れません。しかし、症状がないからといって安心せず、血圧が高いと指摘されたときから適切に管理することが大切です。
本記事では、高血圧と心筋梗塞の関係性をはじめとして、以下を解説します。
● なぜ高血圧は心筋梗塞のリスクを高めるのか?
● 見逃してはならない症状
● 心筋梗塞のリスクを下げる方法
● リスクが高まる心筋梗塞以外の病気
高血圧と心筋梗塞の関係性や血圧管理の重要性を知りたい方は、参考にしてください。
目次
1.高血圧と心筋梗塞の関係性
高血圧と心筋梗塞は密接な関係があります。高血圧が原因で心筋梗塞を発症または死亡している割合は、男性34%、女性17%と推定されているためです。とくに高齢者において、収縮期血圧(上の血圧のこと)が心筋梗塞のリスクを高める大きな要因となっています。
なお、心筋梗塞などのリスクを下げるための血圧の目標値は、全年齢において130/80mmHg未満 (診察室血圧 )です。
出典:栃木県医師会 急性心筋梗塞医療連携手帳
出典:日本高血圧学会 高血圧の話
2.なぜ高血圧は心筋梗塞のリスクを高めるのか?
高血圧が心筋梗塞のリスクを高める理由は、動脈硬化を進行させるためです。動脈硬化が進行してしまうと、以下のような流れで心筋梗塞を発症する恐れがあります。
1. 心臓の重要な血管でも動脈硬化が進行する
2. 動脈硬化が進行すると、血管の内側に粥腫(じゅくしゅ:コレステロールの塊のようなもの)が形成されていく
3. 粥腫が大きくなりすぎると、破裂して血栓(血の塊)ができるリスクが高まる
4. 血栓ができると血管を塞いでしまい心筋梗塞を発症する
動脈硬化を進行させるのは高血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常症、喫煙習慣なども原因になります。
3.心筋梗塞につながる恐れのある見逃してはならない症状
高血圧が進行すると、多くの場合は心筋梗塞の前に狭心症(きょうしんしょう)を発症します。狭心症とは心臓の血管が狭くなり始め、心臓に十分な酸素や栄養が送れなくなっている状態です。
狭心症を発症していると、一般的に階段や坂道を登るときなど、体を動かす際に胸を締め付けるような痛みや苦しみを感じます。人により以下のような症状が現れることもあります。
● 胃の痛み
● 歯や顎の痛み
● 左肩の痛み
● 左手のしびれ
● 背中の痛み
狭心症が進行すると、軽い労作や安静時も症状が現れるようになります。さらに冷汗の出現のほか、痛みの程度の強まり、症状の持続時間も延長します。これらの狭心症が疑われる症状が現れている場合は、早めに医療機関を受診して治療を始めてください。
症状が現れていないからといって安心はできません。高血圧および動脈硬化は、ほとんどの場合に初期症状が現れることはないためです。狭心症の症状が現れず突然心筋梗塞を発症することもあります。高血圧は症状が現れていなくても、適切に管理する必要があります。
突然の激しい胸の痛みや焼けるような胸の痛みは、心筋梗塞を発症している恐れがあります。ただちに救急車を要請して、医療機関に搬送してもらってください。
4.高血圧による心筋梗塞のリスクを下げる方法
高血圧による心筋梗塞のリスクを下げる方法には、以下のようなものがあります。
● 高血圧の治療を始める
● 生活習慣の改善をする
● オンライン診療を利用する
それぞれの詳細を解説します。
4-1.高血圧の治療を始める
高血圧の治療を始めていない方は、医療機関を受診して適切な治療を進めましょう。医療機関を受診すると、必要に応じて以下のような検査を行います。
検査 | 詳細 |
心電図 | 心臓の虚血や心肥大(心臓の筋肉が分厚くなること)、不整脈(脈の乱れ)などが引き起こされていないかを調べる。 |
胸部レントゲン | 心肥大や心不全の有無を調べる。 |
心エコー | 心肥大や心不全の状況を調べる。 |
血液検査 | 脂質異常症や糖尿病の有無を調べる。高血圧の原因になる腎臓の機能の低下やホルモンの異常がないかも確認する。 |
尿検査 | 腎臓への影響や腎臓の病気の有無を調べる。尿の中のナトリウム量を測定することで、食塩摂取量も推定できる。 |
これらの検査により「高血圧が体にどの程度影響を及ぼしているのか」または「高血圧を引き起こしている病気が隠れていないか」を調べます。
4-2.生活習慣の改善をする
血圧が130〜139/80〜89mmHgの方は、基本的に薬を使用せず以下のような生活習慣の改善を進める必要があります。血圧が140/90mmHgを超える方は、生活習慣の改善と薬物療法を検討しなければなりません。
実施すべき項目 | 詳細 |
減塩 | 1日の食塩摂取量を6g未満にする。 |
肥満の改善 | BMI(体格指数)25未満を目指す。 |
食生活の改善 | 肉類(特に脂身)や揚げ物などを避けて、野菜や果物、魚類を積極的に摂取する。 |
運動 | ウォーキングなどの有酸素運動を毎日30分以上、または週に180分以上行う。 |
節酒 | 1日のアルコール量を男性は20〜30mL以下、女性は10〜20mLにする。 |
禁煙 | 禁煙をして、受動喫煙も避ける。 |
その他 | 寒い時期はしっかり防寒をして、ストレスもためないようにする。 |
減塩は高血圧の改善において特に重要です。塩分制限をしていた高血圧患者さんが、塩分摂取を増やしてしまったところ、心筋梗塞を発症する割合が増加したと報告もあります。医師と相談しながら生活習慣の改善を進めましょう。
4-3.オンライン診療を利用する
医療機関に通院する時間がないという方は、オンライン診療を利用するという手段もあります。ただし、オンライン診療はかかりつけの医師が行うことが原則です。
かかりつけの医師がいない方は、以下の条件を満たす必要があります。
● 過去の診療記録、診療情報提供書、健康診断の結果、お薬手帳などから患者さんの情報を十分に得ている
● オンラインで事前に診療前相談を行い、オンライン診療が可能であると医師と患者さん双方合意している
オンライン診療後、オンライン診療が望ましくない病状と判断された場合は、対面の診療を推奨します。その際に、かかりつけの医師がいない場合は、対面の診療が可能な近隣の医療機関を紹介することがあります。
関連記事:
5.高血圧によりリスクが高まる心筋梗塞以外の病気
高血圧は心筋梗塞以外にも、以下のような病気を引き起こすリスクを高めます。
心筋梗塞以外の病気 | 詳細 |
心不全 | 心臓から全身に血液を送るポンプ機能が低下する病気。 |
脳梗塞 | 脳の血管が詰まり血流が途絶え、脳の細胞が死んでしまう病気。手足の麻痺や言語障害などの後遺症が出る恐れがある。 |
脳出血 | 脳の血管が破れてしまい脳内で出血が起きる病気。手足の麻痺や言語障害などの後遺症が出る恐れがある。 |
大動脈瘤 | 人体の中で最も太い血管の一部にコブのような膨らみができてしまう病気。 |
腎硬化症 | 高血圧の影響で腎臓の血管に動脈硬化が起こり、腎臓に障害をきたす病気。 |
眼底出血 | 眼の中の細い血管が高血圧の影響で破れてしまい出血が起きる病気。出血の場所によっては急激な視力低下が起こる。 |
6.オンライン診療で血圧を管理するなら「高血圧イーメディカル」
「健康診断で高血圧を指摘されたけど、仕事が忙しくて通院する時間がない」という方は、当社が提供しているオンライン診療「高血圧イーメディカル」にご相談ください。イーメディカルには、以下のような特徴があります。
1. 保険適用で利用できる
2. 薬を自宅まで郵送できる
3. チャットで専門チームにいつでも相談できる
それぞれの詳細を解説します。
6-1.保険適用で利用できる
イーメディカルはオンライン診療のサービスですが、診察費や薬代も健康保険が適用されます。そのため、対面の診察とほとんど料金が変わりません。オンライン診療であればスマートフォンなどで、通院や待ち時間のストレスも感じず診察を受けられます。
6-2.薬を自宅まで郵送できる
処方された薬は、自宅のポストに郵送可能であるため薬局で長時間待つ必要もありません。つまり、診察から薬の処方までをオンラインで完結できるということです。ただし、別途薬の郵送費が必要であるため注意してください。
6-3.チャットで専門チームにいつでも相談できる
イーメディカルに入会すると、専用のアプリのチャットでいつでも専門チームに相談できます。血圧や体調に関する不安や生活習慣の疑問などをいつでも相談できます。
7.まとめ
高血圧はいつのまにか動脈硬化を進行させて、心筋梗塞のリスクを高めます。自覚症状がないからといって、高血圧を放置してはいけません。
階段や坂道を登ると胸が締め付けられるような痛みや苦しみが現れる方は、心筋梗塞に移行するリスクのある狭心症を発症している恐れがあります。疑われる症状が現れている方は、医療機関を受診してください。
心筋梗塞などの病気を防ぐには「血圧が高め」と指摘された初期段階から、管理を始めることが大切です。仕事や家事が忙しくて通院をする時間がないという方は、高血圧イーメディカルに一度ご相談してください。