高血圧に伴うリスクとは?原因や改善方法を医師が解説

監修者

【監修】谷田部 淳一

チーフメディカルディレクター・ 医師・医学博士

20歳以上の日本人のうち、約2人に1人は高血圧だといわれています。高血圧は決して珍しいものではありません。しかし、高血圧の状態が続くことでどのようなリスクがあるかについて知っている方はあまり多くはないでしょう。

むしろ、「高血圧になると何がいけないの?」と疑問に感じている方が多いかと思います。結論から言うと、高血圧は命に関わるものです。

今回は、高血圧になるとどのようなリスクが高まるのかについて詳しく解説します。

1.高血圧とは


高血圧とは、診察室血圧が140/90 mmHg以上、もしくは家庭血圧が135/85 mmHg以上になった状態のことです。繰り返し測っても血圧が高い場合は、高血圧となります。

心筋梗塞や脳梗塞など心血管病の発症に大きく関わっていることから、高血圧の場合は適切な血圧コントロールをしていくことが大切です。

1-1.高血圧には「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2種類がある

高血圧には、本態性高血圧と二次性高血圧とがあります。本態性高血圧とは、原因がはっきりとはわからない高血圧のことです。日本人の高血圧の約90%は本態性高血圧だと言われています。遺伝や生活習慣などが関与している高血圧です。具体的には肥満や飲酒、ストレスや運動不足、食生活の乱れ、喫煙などが関係しています。

一方で二次性高血圧とは、高血圧になる原因がはっきりとわかっているもののことです。たとえば甲状腺や副腎の病気などによって高血圧が引き起こされることがあります。二次性高血圧の場合は、高血圧の原因となっている病気をまずは治療することが基本です。

1-2.高血圧と診断される前から対策を始めることが大事

血圧が120/80 mmHgを超えて高くなるほど、脳や心臓などに負担がかかりやすくなります。高血圧と診断されるほど血圧が高くなくても、体には影響が出ているのです。

そのため、高血圧の基準を満たすほど血圧が高くない場合でも、130/80 mmHg以上(高値血圧と呼びます)の方は対策を始めましょう。

高血圧の対策を始めるのに早すぎるということは決してありません。早めに高血圧対策を始めて、高血圧が引き起こすリスクをできるだけ低くすることが大切です。

2.高血圧によってリスクが高まる病気


では、高血圧によって具体的にどのような病気のリスクが高まるのでしょうか。ここでは代表的な8つのリスクについて紹介します。

2-1.脳出血

高血圧は脳出血を引き起こす大きなリスクファクターです。血圧が高い状態が続くと、脳の血管の弾力性が失われ、出血しやすくなります。出血した部位によっては手足の麻痺や意識障害が残ることも少なくありません。

2-2.脳梗塞

高血圧は次第に血管の弾力性を低下させ、硬くて脆い血管に変化させていきます。すると、血管にプラークや血栓ができ、詰まって脳梗塞を起こすことがあるのです。脳梗塞を起こすと脳に血液が送られなくなり、脳の組織がダメージを受けます。

2-3.くも膜下出血

くも膜下出血は、脳出血の一つです。高血圧が最大の原因だといわれています。激しい頭痛や意識障害、嘔吐などの症状が代表的です。「バットで殴られたような痛み」と表現されるほど、強い痛みが生じます。

2-4.狭心症

狭心症とは、心臓に流れる血管が狭くなることで血流が悪くなる病気のことです。完全に血管が詰まるわけではありませんが、血液の通り道が狭くなるため動いたときにすぐ息切れしたり、胸が締め付けられるような痛みが出たりすることがあります。

安静にしていると症状は落ち着くことが一般的です。症状が出現する頻度が増えたり、持続時間が長くなったりする不安定狭心症は、心筋梗塞の一歩手前であり、早急な対応とされています。

2-5.心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓の血管が詰まることで起こります。高血圧により血管が固くなるとプラークや血栓が沈着しやすくなるため、血管が詰まってしまうことがあるのです。心筋梗塞になると心臓へ血管が供給されなくなり、心筋細胞が壊死を起こすことがあります。

心筋梗塞は突然死の原因にもなりますし、運よく治療に成功してもその後の生活の質を左右します。何よりも心筋梗塞にならないように予防することが肝要です。

2-6.心不全

心不全とは、心臓の働きが低下して十分な血液を全身に送り出せなくなった状態のことです。高血圧の状態が続くと、心臓は絶えず強い圧力をかけて血液を送り出さなくてはなりません。この状態が続くと心臓は次第に疲れ切って働きが悪くなり、心不全となります。

また、心筋梗塞の後の主要な後遺症が心不全です。ちょっと歩いただけで息切れがするようになったり、生活の質を低下させます。また、心不全は進行性の病であり、入退院を繰り返すようになることもしばしばです。

2-7.大動脈瘤

私たちの体には、大動脈という最大直径が約3cmにも及ぶ血管が存在します。この大動脈にこぶのような膨らみができるのが大動脈瘤です。症状はほとんどありませんが、こぶが破裂する直前になると、胸やお腹の痛み、吐き気などが生じます。

2-8.大動脈解離

大動脈解離とは、血管の膜に亀裂が入り、裂けてしまう病気です。血管には、内膜と中膜、外膜の3つの膜があります。

もっとも内側にある内膜から裂けていき、外膜まで避けると大出血を起こすことがある恐ろしい病気です。喫煙者に発症することが多く、予防するためには何より禁煙することが重要です。

2-9.これらのリスクを回避するためには血圧を下げておくことが大切

このように、高血圧はさまざまな病気のリスクを高めます。なかには命に関わるものもあるため、日頃から血圧を下げておくことが大切です。しかし、高血圧そのものには自覚症状がほとんどありません。そのため、血圧が高いことに危機感を抱かず過ごしている方も多いのが現状です。

高血圧は、静かに体をむしばんでいくサイレントキラーと呼ばれています。体は確実に高血圧の影響を受けていますので、血圧が高い方はなるべく早めに対策を始めてください。

3.なぜ高血圧になるの?原因は?


高血圧はさまざまな要因が絡み合って高くなります。日常のちょっとしたことが血圧を高くする原因になっていることも少なくありません。

3-1.塩分の摂り過ぎ

日本人が高血圧になる原因としてとくに多いのが、塩分の摂り過ぎです。塩分を摂ると血液中に水分が集まるため、押し出す血液量が増えて血圧が上がります。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で定められている塩分の摂取目標値は、1日あたり男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。しかし私たちは、平均して10.1gの食塩を摂取しています。

3-2.肥満

高血圧の発症リスクは、肥満になると高くなります。BMI20の方の高血圧発症リスクを1とすると、BMI25.0~29.9の方は1.5~2.5倍もリスクが高くなるのです。

3-3.運動不足

運動には余分な塩分を排泄する働きがあります。運動不足になると体内に塩分が溜まって血圧が上がりやすくなるので注意しましょう。

3-4.飲酒

飲酒は血圧を上昇させます。アルコールの単回摂取は血圧を低下させるとも言われていますが、継続的な摂取は血圧上昇の原因です。大量のアルコール摂取は脳卒中やがんの原因にもなるので控えましょう。

3-5.ストレス

ストレスが溜まると、自律神経のバランスが崩れます。通常は交感神経と副交感神経がバランスを取り、血圧をうまく調節していますが、ストレスを受けると交感神経の働きが優位になり血圧が上がってしまうのです。

3-6.加齢

年齢により、私たちの血管は自然と弾力性を失っていきます。弾力性を失った血管は、血液をスムーズに循環させることができません。そのため、血液を押し出すために強い力が必要になり、血圧が高くなります。加齢による高血圧を放置すると、より血管は固く、より血圧が高くなるという悪循環に陥ります。この悪循環を断ち切ることが肝要です。

3-7.遺伝

遺伝も高血圧の原因です。本態性高血圧は、普段の生活習慣のほかに遺伝的な要因も影響しています。日本人の場合は、食塩感受性を高める遺伝子をもつ方が多いことが知られています。

4.高血圧を改善する方法

血圧の状態によっては降圧薬を使うこともありますが、まずは生活習慣を見直すことが大切です。生活習慣を変えるだけで血圧が下がり、薬での治療がいらなくなるケースもあります。

4-1.塩分の摂取量を控える

日本人は塩分を摂り過ぎている傾向にあるため、まずは塩分摂取量の見直しから始めましょう。日本高血圧学会は、高血圧がある方の減塩目標として、1日6g未満にすることを推奨しています。麺類のスープを飲み干さず残したり、みそ汁を具だくさんにして汁の量を少なくしたりなど対策をしてみましょう。

4-2.適度な運動を行う

運動を行うと、その後も持続的に降圧効果が持続します。1回10分以上の運動を1日に40分以上行うことを目標にしましょう。運動による降圧効果を維持するためにも、できるだけ毎日体を動かすことが大切です。

4-3.節酒や禁煙をする

お酒を飲む習慣がある方は、飲む量を減らしましょう。高血圧を管理するためには、1日あたり男性でビール中瓶1本未満、女性でビール中瓶1/2本未満にすることが推奨されています。喫煙は血管を収縮して血圧を上昇させるため、禁煙を心がけましょう。

4-4.定期的に血圧を自宅で測る

定期的に自宅で血圧を測るのも効果的です。「しばらく高い状態が続いているな」と早めに気づければ、塩分量や生活習慣の見直しを行うきっかけとなります。

また、普段行っている食事や運動による降圧効果を目で見て確認することも可能です。血圧の変化にすぐ気づけるようになるためにも、自宅で測る習慣をつけましょう。

5.「高血圧イーメディカル」は自宅にいながら血圧管理が可能

「高血圧は病院で治療しないといけない」と思っていませんか?実は自宅にいながら専門医師による治療を受けることもできます。そこで役立つのが「高血圧イーメディカル」です。

5-1.血圧計の無料貸し出しがあるので自宅でいつでも計測できる

高血圧イーメディカルでは、プランをご契約いただいた方全員に無料で血圧計の貸出を行っています。1台約18,000円する、医師もおすすめのオムロン製の血圧計です。腕帯(カフ)を正しく巻けたかチェックしてくれる機能もあるので、血圧計を使い慣れていない方でも正確に測定できます。

5-2.血圧の値は医療スタッフと共有されるので安心

測った血圧は自動で専用のアプリと連携され、専門スタッフに共有されます。あなたの血圧を常に見守ってくれる心強い存在となるはずです。異常値が出ると専門スタッフがすぐに対応をしてくれます。

5-3.「血圧が高いかも」と不安になったらいつでも無料で医師に相談できる

「いつもより血圧が高い」「生活習慣は変えていないのに血圧が高め」など、不安なことが少しでもあればチャットから無料で医師や看護師に相談できます。ちょっとしたことでも気軽に相談できるので、安心して血圧管理を行っていけるでしょう。

5-4.必要に応じて薬のお届けもしてもらえる

薬の処方が必要な方には、オンライン診察の後に郵送でご自宅まで薬をお届けしています。薬代や送料もプランの料金に含まれているため、別途料金が発生することはありません。薬局に足を運ぶことなく必要な薬が手元に届くので便利だと好評です。

6.まとめ


高血圧の状態が続くと、脳出血や脳梗塞、狭心症や心筋梗塞など命に関わることもある病気のリスクが大きく高まります。高血圧自体に症状がほぼないので軽視しがちですが、血圧が高い場合は早めに対策を始めることが重要です。

「何をしたらいいのかわからない」「どこの病院に行ったらいいか迷っている」とお悩みの方は、ぜひ高血圧イーメディカルをご利用ください。高血圧を専門に診ている医師が、しっかりとあなたの血圧を管理します。

 

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