
「高血圧は心不全を引き起こす原因になる?」
「心不全を予防する方法は?」
「心不全の初期症状を知りたい」
高血圧は、心不全を引き起こす大きな原因の1つです。「血圧が高め」と指摘された初期段階から血圧の管理を行えば、心不全を引き起こすリスクを下げられます。
本記事では心不全の概要をはじめとして、以下を解説します。
● 心不全のリスクを高める理由
● 高血圧性心不全の経過と疑われる症状
● 検査方法や治療方法
● 予防法3選
高血圧による心不全を予防する方法を具体的に解説しています。高血圧と心不全の理解を深めるために本記事を役立ててください。
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目次
1.そもそも心不全とは?
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。放置すると生命に関わる重篤な状態に進行する恐れがあります。
日本における死因で最も多いのは癌で27.6%、その次が心疾患の15%です。心疾患のうち41%が心不全で、心疾患の死因の中で最も多い病気です。
心不全は発症すると完治できる病気ではありません。発症させないためには、高血圧を早期の段階から改善する必要があります。発症してしまった場合は、進行させないために適切な治療を進めることが重要です。
2.なぜ高血圧は心不全のリスクを高めるのか?
高血圧は心不全を引き起こす大きな原因の1つです。
高血圧は以下のように心不全を引き起こします。
1. 高血圧により心臓へ高い圧力が加わるようになる
2. 長期間の負荷により心臓の筋肉が厚く固くなってしまう
3. 心臓はより強い圧力で血液を押し出そうとするため、さらに負荷がかかる
4. 心臓は徐々に厚く固くなり広がりにくくなる
5. その結果、心臓のポンプ機能が低下して血液を十分に送り出せなくなる
以上のように高血圧が原因で起きる心不全を高血圧性心不全と呼びます。
3.高血圧性心不全の経過と疑われる症状
ここからは、高血圧性心不全の経過と疑われる症状について解説します。
3-1.初期段階は症状がほとんど現れない
高血圧性心不全は、初期段階では自覚症状がほとんど現れないため、見過ごされやすい特徴があります。症状がないからといって安心できるわけではありません。
以下のステージA、またはステージBに該当する恐れがあるためです。
心不全のステージ分類 | 症状の有無 | 心臓への影響 |
ステージA | なし | 心不全の発症リスクがある |
ステージB | なし | 心臓の構造に変化が現れる |
ステージC | あり | 明らかに心不全を発症している |
ステージD | あり | 末期心不全の状態である |
ステージAはまだ心臓の機能が低下していない段階ですが、心不全の予備軍です。ステージBは、症状は現れない傾向ですが、心臓の機能が低下し始めており検査でも異常が検出されます。隠れ心不全とも呼ばれています。
3-2.ある程度進行すると息切れやむくみが現れる
心不全の症状で多いのは「階段や坂道を上り下りをすると息切れがする」「足の甲やすねのむくみが目立つようになった」などです。
そのほかにも、以下のような症状が現れることがあります。
● 体重が1週間で2〜3kg増加する
● 尿量が減る
● 食欲が低下する
● お腹が張った感じがする
さらに悪化すると、横になった際の息苦しさや、仰向けになった際に持続する咳などが現れます。疑われる症状が現れている場合は医療機関を受診してください。
4.高血圧性心不全の検査方法
高血圧と指摘されたあとに行う精密検査は以下のようなものです。
検査項目 | 詳細 |
胸部レントゲン | 心不全や心肥大(心臓が厚くなること)の有無を調べる。 |
心エコー | 心肥大や心臓の機能の状態を調べる。 |
心電図 | 心肥大や不整脈の有無を調べる。 |
血液検査 | 高血圧以外のリスク因子である脂質異常症や糖尿病の有無を調べる。 |
尿検査 | 腎臓への負担や腎臓の病気の有無を調べる。 |
以上のような検査を実施すれば、高血圧が心臓にどれくらい影響を与えているかを把握できます。心不全が疑われる場合は、血液検査における心不全の有無や程度を評価できるBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)を確認することもあります。
5.高血圧性心不全の治療方法
高血圧によりすでに心不全を発症している場合は、以下のような血圧を下げるための薬物療法が検討されます。
降圧剤 | 効果 |
ACE阻害薬 | 血管を拡張させて血圧を下げる薬 |
β遮断薬 | 心拍数を減らして心臓の収縮性を整え血圧を下げる薬 |
利尿薬 | 尿からの余分な水分を排出できるように促し心臓の負担を調節する薬 |
血圧の目標値は、患者さんそれぞれに合併している病気により異なります。患者さんの病態に応じて治療を進めることが大切です。薬物療法のほかにも、食生活の乱れや運動不足、肥満、禁煙、節酒などの生活習慣の改善も必要です。
6.高血圧性心不全の予防法3選
高血圧性心不全の予防方法には、以下のようなものがあります。
1. 医療機関を受診する
2. 生活習慣を改善する
3. オンライン診療の利用を検討する
それぞれの詳細を解説します。
6-1.医療機関を受診する
高血圧による心不全の発症を予防するには「血圧が高め」と指摘された早期の段階から、血圧管理を始めることが大切です。そのためにも、まずは医療機関を受診して適切な診察や検査を受ける必要があります。
一般的な血圧の目標値は「診察室血圧130/80mmHg未満」です。しかし、合併している病状などにより、目標とする血圧値は異なるため、医師の指示に従い血圧を管理することが大切です。
心不全の初期段階において、息切れやむくみなどの初期症状が現れることもあります。息切れやむくみを含め気になる症状が現れたことがある方は、医師に伝えるようにしてください。
6-2.生活習慣を改善する
血圧を下げるには、以下のような生活習慣の改善が重要です。
実施すべき項目 | 詳細 |
減塩 | 1日の食塩摂取量を6g未満にする。 |
肥満の改善 | BMI(体格指数)25未満を目指す。 |
食生活の改善 | 肉類(特に脂身)や揚げ物などを避けて、野菜や果物、魚類を積極的に摂取する。 |
運動 | ウォーキングなどの有酸素運動を毎日30分以上、または週に180分以上行う。筋トレなどのレジスタント運動も効果的。 |
節酒 | 1日のアルコール量を男性は20〜30mL以下、女性は10〜20mL以下にする。 |
禁煙 | 禁煙をして、受動喫煙も避ける。 |
その他 | 寒い時期はしっかり防寒をして、ストレスもためないようにする。 |
血圧が130〜139/80〜89mmHgの方は、基本的に薬を使用せず生活習慣の改善を進めます。
血圧が140/90mmHgを超える方は、生活習慣の改善と薬物療法を検討しなければなりません。医師と相談しながら生活習慣の改善を進めましょう。
6-3.オンライン診療の利用を検討する
「通院する時間がない」という方は、オンライン診療を利用するという手段もあります。オンライン診療であれば、仕事や家事で忙しい人でも治療を継続しやすいです。ただし、オンライン診療はかかりつけの医師が行うことが原則です。
かかりつけの医師がいない方は、以下の条件を満たす必要があります。
● 過去の診療記録、診療情報提供書、健康診断の結果、お薬手帳などから患者さんの情報を十分に得ている
● オンラインで事前に診療前相談を行い、オンライン診療が可能であると医師と患者さん双方合意している
オンライン診療後、オンライン診療が望ましくない病状と判断された場合は、対面の診療を推奨します。その際に、かかりつけの医師がいない場合は、対面の診療が可能な近隣の医療機関を紹介することがあります。
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7.オンライン診療で血圧を管理するなら「高血圧イーメディカル」
「血圧が高めと指摘されたけど、仕事が忙しくて通院する時間がない」という方は、当社が提供しているオンライン診療「高血圧イーメディカル」にご相談してください。イーメディカルには、以下のような特徴があります。
1. 保険適用で利用できる
2. 薬を自宅まで郵送できる
3. チャットで専門チームにいつでも相談できる
それぞれの詳細を解説します。
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7-1.保険適用で利用できる
イーメディカルは、初診から診察費や薬代も健康保険が適用され、対面の診察とほとんど変わらない料金で受診できます。料金負担がほぼ変わらないのに加えて、スマートフォンやタブレットで、通院や待ち時間のストレスも感じずに診察を受けられます。
7-2.薬を自宅まで郵送できる
処方された薬はご自宅のポストに郵送可能です。そのため、薬局に行く必要も長時間待つ必要もなく、診察から薬の処方までをオンラインで完結できます。ただし、別途薬の郵送費は必要であるため注意してください。
7-3.チャットでいつでも専門チームに相談できる
イーメディカルでは、医師や看護師で構成された専門のチームが継続サポートします。入会後は、専用のアプリのチャットでいつでも血圧に関する不安や疑問について相談できます。
8.高血圧により引き起こす恐れがある心不全以外の心臓の病気
高血圧は、心不全以外にも以下のような心臓の病気を引き起こす恐れがあります。
心臓の病気 | 特徴 |
心筋梗塞 | ・心臓の重要な血管が詰まってしまう病気 ・生命に危険を及ぼす恐れがある ・発症すると突然の激しい胸の痛みが現れる |
狭心症 | ・高血圧などによる動脈硬化により心臓の重要な血管が狭くなる病気 ・心筋梗塞に移行するリスクがある ・胸や胃の辺りが締め付けられるような痛みが現れる |
不整脈 | ・心臓の拍動のリズムが乱れる病気 ・心臓の中の血液の流れが悪くなる ・不整脈の種類にもよるが動悸や息切れ、胸の痛みなどが現れる ・心房細動は脳梗塞の原因にもなる |
これらの心臓の病気を引き起こさないためにも、健康診断などで「血圧が高め」と指摘された早期の段階から血圧の管理を始めましょう。
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9.早期の段階から高血圧を改善して心不全を未然に防ごう
高血圧性心不全は、早期に高血圧を改善すれば発症を予防できる可能性があります。そのためには、まずは医療機関を受診して適切な診察や検査を受けることが大切です。
血圧の管理においては、食生活の乱れや運動不足、肥満、禁煙、節酒などの生活習慣の改善も重要です。「忙しくて通院する暇がない」方は、オンライン診療という新しい選択肢もあります。
「とりあえずオンライン診療がどのようなサービスか知りたい」とお悩みの方も、お気軽に無料オンライン相談をお試しください。高血圧を専門としている医師が、高血圧やオンライン診療に関する疑問にお答えします。