
「高血圧が狭心症を引き起こすのはなぜ?」
「狭心症を放置するとどうなる?」
「注意すべき症状を知りたい」
高血圧は動脈硬化(血管の弾力性が失われていく病気)を進行させるため、狭心症を引き起こすリスクがあります。狭心症を予防するには、健康診断で高血圧と指摘された早期の段階から治療を始めることが大切です。
本記事では、狭心症の概要をはじめとして以下を解説します。
● 高血圧が狭心症の原因になる理由
● 高血圧以外の狭心症を引き起こす原因
● 狭心症を疑う症状
● 狭心症を放置してはならない理由
● 狭心症の検査方法や治療方法
高血圧から狭心症を引き起こさないための予防法についても詳細に解説しています。高血圧と狭心症の関係性の理解を深めるために本記事を役立ててください。
目次
1.高血圧が引き起こす狭心症とは?
狭心症とは、心臓の重要な血管である冠動脈(かんどうみゃく)が狭くなり、血液の流れが悪くなる病気です。発作が起きると胸の痛みが現れます。
狭心症は以下の3つに分けられます。
病名 | 特徴 |
労作性狭心症 (安定狭心症) | ・一定以上の動作や運動で発作が出現する狭心症 ・狭くなる原因の多くは動脈硬化である ・冠動脈の一部の75%が狭くなると症状が現れる |
冠攣縮性狭心症 (安静狭心症) | ・冠動脈がけいれんすることで一時的に狭くなる狭心症 ・動脈硬化やストレス、脂質異常症などが関与している ・夜間や早朝などの安静時に発作が現れる特徴がある |
不安定狭心症 | ・プラーク(コレステロールの塊のようなもの)により冠動脈が閉塞する危険性が高い狭心症 ・心筋梗塞に移行する前段階であるため早急な対応が必要である ・いままでになかった胸の痛みや締め付け感、圧迫感、胸やけなどが現れる |
本記事では、主に労作性狭心症について解説しています。
2.高血圧が狭心症の原因になる理由

高血圧を発症していると、上記の画像のように動脈硬化が進行して狭心症を引き起こす恐れがあります。
動脈硬化が発症の原因となることが多い労作性狭心症では、以下のように冠動脈に動脈硬化が起こり発症します。
● 動脈硬化が進行すると冠動脈にプラークが蓄積する
● プラークが蓄積していくと冠動脈が狭くなり血液の流れが悪くなる
● 冠動脈の血液の流れが悪くなると心臓の筋肉に必要な酸素が足りない状態になる
この状態で運動を行うと、心臓の筋肉に必要な酸素がさらに不足するため、発作症状である胸の痛みが現れます。さらに動脈硬化が進行すると、プラークが壊れて生じる血栓(血の塊)により、冠動脈が詰まってしまう恐れがあります。
3.高血圧以外の狭心症を引き起こす原因
狭心症を引き起こす動脈硬化の原因は、高血圧だけではありません。糖尿病や脂質異常症、痛風などの生活習慣病も動脈硬化の原因になるため、狭心症を引き起こす恐れがあります。
また、以下に該当する方も狭心症を引き起こしやすいとされています。
● 肥満である
● 脂肪やコレステロールの多い食事をよく食べる
● 喫煙習慣がある
● 過度に精神的なストレスを感じている
とくに高LDL(悪玉)コレステロール血症は、冠動脈の動脈硬化を引き起こすリスクが高くなります。悪玉コレステロール値が高いと指摘された方は早期に改善を進めてください。
4.狭心症を疑う症状
動脈硬化が主な原因である労作性狭心症を疑う症状は、階段や坂道を登ると現れる圧迫感と締めつけ感のある胸の痛みです。
症状には以下のような特徴があります。
● 胸の痛みは少し休むと改善する
● 症状は数秒から10分ほどで改善する
● 胸の痛みは徐々に強くなる
人によっては、左肩や腕、あご、みぞおちの辺りに痛みを感じることがあります。これらの症状が現れている方は、医療機関を受診してください。
5.高血圧と狭心症を放置してはならない理由

狭心症を放置してはならない理由は、心筋梗塞に移行するリスクが高まるためです。狭心症を病状により分類した不安定狭心症には、とくに注意しなければなりません。
不安定狭心症とは、冠動脈に蓄積されたプラークが壊れやすい状態にある病状です。もしも、プラークが壊れて血栓が血の流れにのると、冠動脈が詰まるリスクがあるため心筋梗塞への移行する恐れがあります。
以下のような不安定狭心症を疑う症状には注意が必要です。
● いままでになかった胸の痛みや締め付け感、圧迫感、胸やけなどが現れる
● 運動時ではなく安静時に胸の痛みを感じる
● 胸の痛みが長いときで20分ほど続く
● 胸の痛みが繰り返し出現する
人によっては、首や下あご、歯、肩、左腕などに痛みを感じる場合があります。
わかりやすい判断基準は「安静時に胸の痛みが現れる」「胸の痛みの持続時間が長くなっている」「発作の回数が増えている」です。疑う症状が現れている方は、速やかに医療機関を受診してください。
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6.狭心症の検査方法
狭心症が疑われる場合は、主に以下のような検査を行います。
検査 | 詳細 |
運動負荷心電図 (トレッドミル検査) | 運動前後の心電図の変化や脈拍の乱れの有無を確認する |
冠動脈CT | 冠動脈の狭窄の状態を確認する |
心筋シンチグラフィー | 心臓の血流障害や筋肉の損傷の程度を評価する |
心臓カテーテル検査 | 手首や鼠径部から細いカテーテルを挿入して冠動脈の狭窄の状態を確認する |
とくに心臓カテーテル検査は、確定診断を実施するために必要な検査です。
7.高血圧による狭心症の治療方法
狭心症は病状に合わせた治療が必要です。例えば、労作性狭心症の場合は、以下のような薬物療法が必要です。
薬の種類 | 詳細 |
硝酸塩 | 血管を広げて心臓の負担を緩和する薬 |
β遮断薬 | 心臓の拍動を落ち着かせて体を動かした際の症状を緩和する薬 |
カルシウム拮抗薬 | 血管を広げて血圧を下げる薬 |
これらの薬により労作性狭心症の症状を抑えます。また、心筋梗塞に移行させないために、血液をサラサラにする薬やコレステロールを下げる薬なども用います。
症状が重度で、冠動脈の狭窄が高度な場合は、カテーテルを使って血管を広げる経皮的冠動脈形成術(PCI)などの治療が必要です。
8.高血圧による狭心症を予防する方法

高血圧による狭心症を予防する方法には、以下のようなものがあります。
1. 医療機関を受診して早期の段階から高血圧を改善する
2. 生活習慣の改善を行う
3. 降圧薬を服用する(オンライン診療の利用を検討する)
それぞれの詳細を解説します。
8-1.医療機関を受診して早期の段階から高血圧を改善する
狭心症を予防するには、早期の段階から高血圧を改善することが大切です。健康診断などで「血圧が高め」と指摘された段階から治療を始めて、動脈硬化の進行を予防してください。
一般的な血圧の目標値は「診察室血圧130/80mmHg未満」です。ただし、合併している病気などにより血圧の目標値は異なります。医師の指示に従い適切な血圧管理を進めてください。
狭心症の原因となる動脈硬化は、高血圧だけでなく糖尿病や脂質異常症、痛風などでも引き起こされます。血糖値や悪玉コレステロール値、中性脂肪値、尿酸値などが高めと指摘されている方も、早期に治療を始めることを推奨します。
8-2.生活習慣の改善を行う
血圧を下げるには生活習慣の改善が重要です。
以下を参考にして、生活習慣の改善を進めましょう。
実施すべき項目 | 詳細 |
減塩 | 1日の食塩摂取量を6g未満にする |
肥満の改善 | BMI(体格指数)25未満を目指す |
食生活の改善 | 肉類(特に脂身)や揚げ物などを避けて、野菜や果物、魚類を積極的に摂取する |
運動 | ウォーキングなどの有酸素運動を毎日30分以上、または週に180分以上行う。筋トレなどのレジスタント運動も効果的 |
節酒 | 1日のアルコール量を男性は20〜30mL以下、女性は10〜20mL以下にする |
禁煙 | 禁煙をして、受動喫煙も避ける |
その他 | 寒い時期はしっかり防寒をして、ストレスもためないようにする |
これらの生活習慣の改善は、1つだけではなく複数組み合わせて行うことが重要です。
8-3.降圧薬を服用する(オンライン診療の利用を検討する)
生活習慣の改善だけで血圧が目標値までなかなか下がらない場合は、降圧薬の服用が必要です。一般的には診察室血圧140/90mmHg以上で合併症リスクが高い場合に、降圧薬の服用が検討されます。
「忙しくて通院する時間がない」方は、オンライン診療という選択肢もあります。ただし、オンライン診療はかかりつけの医師が行うことが原則です。
かかりつけの医師がいない方は、以下の条件を満たす必要があります。
● 過去の診療記録、診療情報提供書、健康診断の結果、お薬手帳などから患者さんの情報を十分に得ている
● オンラインで事前に診療前相談を行い、オンライン診療が可能であると医師と患者さん双方合意している
オンライン診療後、オンライン診療が望ましくない病状と判断された場合は、対面の診療を推奨します。その際に、かかりつけの医師がいない場合は、対面の診療が可能な近隣の医療機関を紹介することがあります。
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9.オンライン診療で血圧を管理するなら「高血圧イーメディカル」

「高血圧を治療したくても、忙しくて通院する時間をとれない」という方は、当社が提供しているオンライン診療「高血圧イーメディカル」にご相談してください。
イーメディカルには、以下のような特徴があります。
1. 保険適用で利用できる
2. 薬を自宅のポストまで郵送できる
3. 専用のアプリでいつでも専門チームに相談できる
それぞれの詳細を解説します。
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9-1.保険適用で利用できる
イーメディカルは、初診から診察費や薬代を保険適用で利用できます。対面の診察とほとんど変わらない料金です。また、オンラインであるため通院時間の負担もありません。
9-2.薬を自宅のポストまで郵送できる
処方された薬はご自宅のポストまで郵送可能です。そのため、受診後に薬局に行く手間もありません。ただし、別途で薬の郵送料が必要な点にご注意ください。
9-3.専用のアプリでいつでも専門チームに相談できる
イーメディカルでは、医師や看護師の専門チームにより治療を継続サポートします。入会後は、専門のアプリでいつでも高血圧に関する不安や疑問について相談できます。
10.狭心症以外の高血圧により引き起こされる恐れがある心臓の病気
高血圧は、狭心症以外にも以下のような心臓の病気を引き起こす恐れがあります。
心臓の病気 | 特徴 |
心筋梗塞 | ・冠動脈が詰まってしまい心臓の筋肉が酸素不足の状態になる危険な病気 ・圧迫感や締め付け感のある激しい胸の痛みが突然現れる ・狭心症を放置する心筋梗塞に移行するリスクがある |
心不全 | ・心臓の血液を送り出すポンプ機能が徐々に低下していく病気 ・初期症状がほとんど現れないため見過ごされやすい特徴がある ・進行すると運動時の息切れや、足の甲やすねのむくみが目立つようになる |
不整脈 | ・心臓の「ドクンドクン」という拍動のリズムが乱れる病気 ・リズムが乱れることにより心臓の血液の流れが悪くなる ・不整脈の種類により異なるが動悸や息切れ、胸の痛みなどが現れる |
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11.高血圧を早期に改善して狭心症を未然に防ごう

狭心症を防ぐには、健康診断などで「血圧が高め」と指摘された早期の段階から、高血圧の治療を始めることが大切です。まずは医療機関を受診して適切な検査を受けてください。階段や坂道を登ると、圧迫感や締め付け感のある胸の痛みが現れる方は、狭心症を発症している恐れがあります。
とくに「安静時に胸の痛みが現れる」「胸の痛みの持続時間が長くなっている」「発作の回数が増えている」という方は、心筋梗塞に移行しやすい不安定狭心症を発症している恐れがあります。速やかに医療機関を受診しましょう。
「オンライン診療がどのようなサービスか知りたい」とお悩みの方は、お気軽に当社が提供しているオンライン診療「高血圧イーメディカル」をお試しください。高血圧を専門としている医師が、高血圧やオンライン診療に関する疑問にお答えします。









