医師監修|高血圧で行われる薬物療法とは?薬の種類や選び方、特徴を解説

監修者

【監修】谷田部 淳一

チーフメディカルディレクター・ 医師・医学博士

「高血圧の治療ではどのような薬が使われるの?」
「薬の種類ごとにどのような違いがあるの?」

高血圧の治療に使われる薬には、多くの種類があります。違いや選ばれ方が気になる方もいるでしょう。高血圧の治療薬は、その人によって適切なものが異なります。
今回は、高血圧を改善させるために使われるおもな薬の種類や特徴、選び方などについて詳しく見ていきましょう。

目次

1.高血圧の薬物療法はいつ始めるの?

日をおいて何度か測定しても診察室で測定した血圧が140/90 mmHg以上、家庭血圧が135 /85 mmHg以上になる場合、高血圧と診断されます。しかし、130~139/80~89 mmHgでも心臓や脳に負担がかかることが明らかです。そのため、糖尿病があるなどリスクの高い方に対しては、高血圧の診断基準を満たさない場合でも薬物治療が開始されることもあります。

まずは生活習慣の見直しを1-3か月程度行い、それでも血圧に変化がなければ薬物療法を検討することが一般的です。

2.高血圧の薬物療法に使われる薬の種類

高血圧の薬物療法に使われる薬は、大きくわけて9つのグループに分類されます。
それぞれどのような特徴があるのかを見ていきましょう。

2-1.カルシウム拮抗薬

高血圧の治療薬としてもっとも多く処方されている薬です。7割以上もの患者さんが服用しているといわれています。高血圧の薬物療法を行う際、第一選択薬となる薬の一つです。

血管平滑筋にカルシウムが流入するのを抑えることで、血管を拡張させます。年齢や性別などを問わず効果が出やすいことが特徴です。

代表的な薬
  • ニフェジピン(アダラート)
  • アムロジピン(アムロジン/ノルバスク)
  • アゼルニジピン(カルブロック)

    2-2.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

    アンジオテンシンⅡとは、血圧を上げる働きがある物質(ホルモン)です。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は、アンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを抑制し、血圧を下げます。

    カルシウム拮抗薬に次いでよく使われている降圧薬です。妊娠中は使用できませんが、腎臓を保護する働きをもちます。これといった副作用が出にくいことが特徴です。

    代表的な薬
    • カンデサルタン(ブロプレス)
    • バルサルタン(ディオバン)
    • テルミサルタン(ミカルディス)

    2-3.アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)

    アンジオテンシン変換酵素阻害薬は、アンジオテンシンIIを作るのに必要な酵素の働きを阻害することで、血圧を下げます。アンジオテンシンIIは血圧を上げる働きがあるため、産生を阻害することで血圧を下げられるのです。

    降圧効果はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と同じか少し弱いくらいといわれています。妊娠中の方には使えないので注意しましょう。

    代表的な薬
    • イミダプリル(タナトリル)
    • カプトプリル(カプトリル)
    • エナラプリル(レニベース)

    2-4.利尿薬

    利尿薬は、血液中のナトリウムや水分を排出することで血圧を下げる薬です。日本人は塩分によって血圧が上がりやすい体質の方が多くいます。塩分を摂ると血液を薄めようと水分が集まり、一度に押し出す血液量が増えるため血圧が上がってしまうのです。利尿薬はとくに高齢の方でよく効きやすいという特徴があります。

    代表的な薬
    • トリクロロメチアジド(フルイトラン)
    • インダパミド(ナトリックス)
    • フロセミド(ラシックス)
    • アゾセミド(ダイアート)

    2-5.ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

    アルドステロンという副腎皮質から分泌されるホルモンの働きを抑える薬です。アルドステロンには血液中のナトリウムや水分量を増やす働きがあります。そのため、アルドステロンが過剰に分泌されている方では、血圧が上がりやすい傾向にあるのです。副腎に腫瘍がある方、肥満の方でアルドステロンが過剰になりやすいといわれています。

    代表的な薬
    • スピロノラクトン(アルダクトン)
    • エプレレノン(セララ)
    • エサキセレノン(ミネプロ)

    2-6.α遮断薬

    交感神経の働きを抑え、血管を拡張させることで血圧を下げる薬です。早朝高血圧といって、起床後1時間以内の血圧が高い場合に使われることがあります。

    代表的な薬
    • ドキサゾシン(カルデナリン)

    2-7.β遮断薬

    心臓に働きかけ、心拍数と心収縮力を抑えることで血圧を下げる薬です。交感神経の働きやレニンという血圧を上げる物質の産生を抑える効果があるものもあります。薬物療法の第一選択薬には含まれていませんが、交感神経の働きが活発な若年者や、心筋梗塞や心不全を起こしたことがある方などに積極的に使われることが特徴です。

    代表的な薬
    • ビソプロロール(メインテート)
    • カルベジロール(アーチスト)
    • プロプラノロール(インデラル)

    2-8.中枢性交感神経抑制薬

    交感神経の働きを抑制することで血圧を下げる薬です。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬などを使用しても血圧がうまく下がらないときに用いられます。メチルドパは妊娠初期にも安全に使えることがわかっており、妊娠中の高血圧治療によく使われることが特徴です。

    代表的な薬
    • メチルドパ(アルドメット)
    • ヒドララジン(アプレゾリン)

    2-9.漢方薬

    漢方薬も高血圧の治療に用いられます。ただし、漢方薬のみが使われることはあまりありません。頭痛や肩こり、イライラや不安など高血圧の症状を悪化させる要因を取り除くことが漢方薬の目的です。ほかの薬を使っても十分に血圧をコントロールできない場合に漢方薬も使われることがあります。

    代表的な薬
    • 抑肝散
    • 桂枝茯苓丸
    • 呉茱萸湯

    3.高血圧の薬物療法に使う降圧薬はどのように決めるの?

    高血圧の薬物療法に用いられる薬には、このようにさまざまな種類があります。どれをどの程度使うのかは、年齢や高血圧の重症度、合併症などに合わせて決めていくことが一般的です。

    3-1.年齢

    年齢によって効きやすい薬が変わります。若い方ではアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬が効きやすく、高齢になるとカルシウム拮抗薬や利尿薬が効きやすくなるようです。年齢に合わせて適切な降圧薬を選択します。

    3-2.高血圧の重症度

    降圧薬の種類によって、血圧を下げる効果が違います。そのため、高血圧の重症度に応じて適切なものを選ぶことが大切です。しかし、急激に血圧を下げるとめまいなどの副作用を生じやすくなることもある、自覚症状に気を付けながら下げていくようにします。

    3-3.合併症の有無

    狭心症がある方にはカルシウム拮抗薬やβ遮断薬、心筋梗塞後の方にはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬、β遮断薬などが積極的に用いられます。慢性腎臓病で蛋白尿がある方には、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を選択します。

    また、病気によっては、使用が適さない高圧薬もあるので注意しましょう。たとえば利尿薬は、痛風を誘発することがあります。

    4.高血圧の薬物療法を行うにあたり知っておきたいこと

    薬によっては副作用を生じることがあります。もちろん、降圧薬も例外ではありません。副作用も含めていくつか注意点があるので押さえておきましょう。

    4-1.副作用で歯肉肥厚や歯槽膿漏になることがある

    カルシウム拮抗薬を使用すると、歯肉肥厚や歯槽膿漏になることがあります。患者さんも血圧の薬が原因だとは思っていないことが多く、見逃されることが少なくありません。たまたま行った歯科検診で発見されることもあります。

    4-2.副作用で空咳が出ることがある

    アンジオテンシン変換酵素阻害薬で起こりやすい副作用が、空咳です。痰が絡まない「コホコホ」という咳が出ます。近頃、風邪を引いたわけでもないのになんだか咳が出やすくなったという方は、降圧薬の副作用を疑ってみてもよいかもしれません。

    4-3.薬を飲み始めても急には血圧は下がらない

    降圧薬の種類によっては、すぐに血圧が低下せず、効果が最大になるまで2~3か月ほどかかることもあります。「降圧薬を飲み始めたのに血圧がすぐに下がらない」と心配する必要はありません。医師の指示通り、治療を継続することが肝要です。

    4-4.降圧目標を達成するために複数の薬を併用することがある

    血圧がうまく下がらない場合、薬の用量を増やすのではなくほかの降圧薬を併用していくことが多くあります。血圧が下がりやすくなったり、蛋白尿が減ったりなどのメリットがあるためです。

    実際に国内外で行われた研究では、併用療法を行ったほうが降圧効果が高まったというデータが得られました。通常、高血圧を完全にコントロールするには、2-3剤の併用療法が必要であるとされています。そのため最近では、2-3種類の降圧薬が1錠にまとめられた、配合剤というお薬を使うケースが増えています。

    4-5.グレープフルーツジュースと相性が悪い降圧薬がある

    グレープフルーツジュースは、薬の代謝酵素であるCYP3A4の働きを阻害します。代謝酵素の働きを阻害するということは、つまり薬が代謝されにくくなり血中濃度が上がりやすくなるということです。

    とくにカルシウム拮抗薬はグレープフルーツジュースの影響を受けやすく、薬が通常より効きすぎて血圧が下がりやすくなることがあります。グレープフルーツジュースの飲用はできたら控えるように指導を受けますが、問題となることは少ないようです。

    4-6.秋から冬は血圧が上がりやすい

    血圧は季節によっても変動します。春から夏にかけては下がりやすく、秋から冬にかけては高くなりやすいのです。気温が下がる時期は、寒さによって血管が収縮するため血圧が上がりやすくなります。

    「近頃、血圧が高くなってきた」という場合は、寒さの影響を受けているのかもしれません。季節による変動に合わせて薬を変えることもありますので、気になる方は担当医にご相談ください。

    5.薬物療法以外で高血圧を改善するためにできること

    血圧を下げるためには、薬物療法だけでなく食事療法や運動療法も組み合わせて行うことが大切です。

    5-1.塩分摂取量を減らす

    塩分の摂取量は血圧上昇と大きく関係しています。高血圧の方の場合は、1日の塩分摂取量を6 g未満にしましょう。令和元年に行われた国民健康・栄養調査では、塩分の摂取量は1日に男性で平均10.9 g、女性で平均9.3 gでした。あと約3~5 g減らす必要があります。

    5-2.お酒の量を控える

    飲酒の習慣がある方は、飲む量を控えましょう。長期にわたり飲酒することで血圧が上がりやすくなります。男性の場合は1日にビール中瓶1本、女性はビール中瓶1/2本程度に抑えましょう。

    5-3.禁煙する

    タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させ血圧を上げる働きがあります。喫煙は咽頭がんや肺がんなどの原因にもなるため、ぜひ禁煙に取り組んでください。

    5-4.適正体重を維持する

    肥満は血圧を上昇させる原因です。BMIが20未満の方と比べると、25.0~29.9の方では高血圧のリスクが1.5~2.5倍になるといわれています。適正体重に維持することは糖尿病や脂質異常症の改善にもつながるため、適切な体重コントロールを行ないましょう。

    5-5.運動を行う

    運動を行うと血管の弾力性が改善すると考えられています。1回につき10分以上の運動を1日に合計40分以上を行うように心がけましょう。運動も高血圧だけでなく糖尿病や脂質異常症の改善に効果があります。

    6.「高血圧イーメディカル」は通院不要で薬物療法を受けられる

    高血圧イーメディカルは、「薬を貰うのに病院に行くのが大変」「待ち時間が長いのがつらい」という方向けのオンライン診療サービスです。

    6-1.高血圧イーメディカルとは

    高血圧イーメディカルでは、オンライン診療をメインに行っています。通院や待ち時間が必要ないため、わずか15分程度で診察が完了します。スマートフォン1台で高血圧の専門チームによる治療を受けられるため、時間がない方や通院が大変な方に人気です。

    6-2.「オンライン診療プラン」は薬が必要な方に最適

    オンライン診療プランでは、月額4,950円(税込)で次のようなサービスを受けられます。

    • 血圧計(1台1万6,000円以上する精度が高いもの)の無料貸し出し
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    • チャット相談
    • 薬の処方・配送
    • 血圧のモニタリング
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    診察から薬の配送まで自宅で完結するため、お待たせすることが一切ありません。気になることがあれば、いつでもチャットでご相談いただけます。無料貸し出ししている血圧計とアプリを連動させて血圧が自動で記録されていくため、モニタリングも簡単です。

    6-3.血圧計の無料貸出があるので正確な血圧を把握できる

    血圧は診察室で測定するものではなく、家庭で測定されたものを見ることが基本になります。しかし、自宅に血圧計がないという方も多いのではないでしょうか。

    高血圧イーメディカルではオンライン診療プランにご登録いただいた皆さまに血圧計の無料貸し出しを行っています。正確な血圧が測定できる機種を貸し出していますので、いつでも自宅で血圧の測定ができます。

    7.高血圧の薬物療法に関するQ&A


    では、最後に高血圧の薬物療法についてよく聞かれる質問にお答えします。

    7-1.高血圧の薬は飲まないほうがいいって本当ですか?

    そのようなことはありません。血圧が高い状態で放っておくほうが危険です。120/80 mmHgを超えて血圧が高くなるほど、脳や心臓、腎臓に負担がかかり死亡リスクが高くなるため、適切な血圧コントロールが必要です。

    7-2.高血圧の薬を飲まないとどうなるのですか?

    血圧が高い状態が続き、脳や心臓の疾患を発症しやすくなります。高血圧をしっかりコントロールできれば年間10万人以上もの方が亡くならずに済むといわれていることから、高血圧をそのままにしておくのはとても危険です。

    7-3.高血圧の薬はジェネリックでも効きますか?

    ジェネリック医薬品でも効果は同じです。とくにこだわりがなければ、安く済むジェネリック医薬品を選んでみてはいかがでしょうか。

    7-4.高血圧の薬は一生飲み続ける必要があるのでしょうか?

    高血圧の薬は飲み続けることが多いものの、必ずしも一生涯にわたり飲む必要があるわけではありません。食事療法や運動療法などによりコントロールがうまくいけば、薬を減らしたり飲まずに過ごしたりできるようになることもあります。

    8.まとめ

    高血圧の薬物療法には、カルシウム拮抗薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、利尿薬などの薬が用いられます。おもに使われているのは、カルシウム拮抗薬です。血管を直接拡張することで血圧を下げる薬です。

    高血圧イーメディカルでは診察がオンラインで完結し、薬は郵送されるようになっています。仕事で忙しい方、待ち時間が長くてつらいと感じる方は、高血圧イーメディカルをぜひご活用ください。血圧のモニタリングやチャット相談も行っているため、安心して毎日を過ごせるようになります。

     

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