高血圧の就業制限に基準はある?従業員の血圧を管理する方法を解説!

監修者

【監修】谷田部 淳一

チーフメディカルディレクター・ 医師・医学博士

高血圧による就業制限に一律の基準はありません。従業員が高血圧の場合、企業側は産業医の意見書をもとに業務の制限を判断します。

適切な対応をしないと法的リスクが生じる可能性があるため、従業員の健康状態を把握し、必要に応じて業務調整や再受診の促進を行うことが重要です。

本記事では、高血圧の就業制限の基準をはじめとして、以下を解説します。

● 高血圧の合併症について
● 適切な就業制限を行わなかった場合の法的リスク
● 就業制限を行うことがある業務内容
● 従業員の再受診を促すポイント
● 従業員の高血圧を管理する方法

「忙しくて定期的な通院ができない」という従業員には、オンライン診療という選択肢があります。スマートフォンで診察を受けられるため、通院の手間が省け、治療を継続しやすくなります。

なお、当社「イーメディカルジャパン」では、高血圧に特化したオンライン診療サービス「高血圧イーメディカル」を提供しています。イーメディカルのオンライン診療サービスについて詳しく知りたい事業者様は、以下を参考にしてください。

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1.高血圧の就業制限に基準はあるのか

高血圧による就業制限に一律の基準はありません。医師や産業医が、血圧値や業務内容に加えて、心臓や脳の病気の発症リスクを考慮して総合的に判断します。

健康診断の医学判定においては、以下のような目安があります。

分類

診察室血圧(mmHg)

判定

収縮期血圧

拡張期血圧

正常血圧

120未満かつ80未満

正常

正常高値血圧

120〜129かつ80未満

保健指導・生活習慣の改善

高値血圧

130〜139または80〜89

Ⅰ度高血圧

140~159または90~99

要受診・要治療

Ⅱ度高血圧

160~179または100〜109

Ⅲ度高血圧

180以上または110以上

出典:高血圧治療ガイドライン・エッセンス 日本心臓財団

Ⅰ度高血圧では生活習慣の改善の努力をしても、血圧値が下がらない場合は医療機関を受診してください。Ⅱ度以上に該当する場合はすぐに医療機関の受診が必要です。

未受診でⅢ度高血圧に該当する場合は、就業判定が保留になる場合があります。通院中であっても治療や就業状況の確認が必要です。

2.高血圧の放置によりリスクが高まる合併症

高血圧は治療をしないで放置すると動脈硬化が進行します。動脈硬化とは、血管の壁が硬く厚くなり、弾力性が失われていく状態です。

動脈硬化を放置すると以下のような合併症のリスクが高まります。

病名

特徴

脳卒中

・脳の血管が詰まったり破れたりする病気

・突然の激しい頭痛や「手足が動かなくなる」「ろれつが回らなくなる」などの症状が現れる

心筋梗塞

・心臓に血液を送る血管が詰まってしまう危険な病気

・突然胸を締め付けられるような激しい痛みが現れる

狭心症

・心臓の血管が狭くなって血液の流れが悪くなる病気

・歩行などの動作時に胸が締め付けられるような痛みが現れる

腎硬化症

・腎臓の血管が傷んでしまい腎臓が硬く縮んでしまう病気

・初期は症状がほとんどないが、進行すると腎臓の働きが悪くなる

高血圧の初期段階はほとんど症状が現れません。症状が現れ始める段階は、臓器が傷み始めているおそれがあります。

すでに早朝の頭痛や夜間の頻尿、息苦しさ、めまい、ふらつきなどの症状が現れている方は、早期に医療機関を受診してください。

3.高血圧の従業員に適切な就業制限を行わなかった場合の法的リスク

企業側が従業員に対して適切に就業制限を行わなかった場合は、損害賠償請求等を問われ、企業の社会的信用に関わる可能性があります。

実際に2019年に「従業員が長時間労働により脳梗塞を発症し後遺症が発生した」として損害賠償を求められた事件があります。

詳しくは以下の通りです。

会社の義務違反

・健康診断を受けさせる義務があったが、2001年と2004年の2回しか実施しなかった

・健診で高血圧の進行を把握していたのに、就労制限や業務軽減などの対策を取らなかった

裁判所の判断

企業側に安全配慮義務違反を認定した。ただし本人の持病も考慮し、賠償額を2割減額となった

出典:安全配慮義務 判例とその意義|特定非営利活動法人健康経営研究会

4.高血圧の方に就業制限を行うことがある具体的な業務内容

高血圧の方に対して就業制限をする場合がある主な業務内容は以下の通りです。

1. 運転業務
2. 高所作業
3. 夜勤業務
4. 重量物を取り扱う業務

それぞれについて詳しく解説します。

4-1.運転業務

運転中に高血圧によるめまいなどが現れると、重大事故につながるリスクがあります。脳梗塞や脳出血が発症した場合には、意識消失を起こすこともあります。

事故を防ぐためにも、乗務前に以下のような症状の有無を確認することが重要です。

● めまいはないか
● 頭痛はないか
● 頭が重い感覚はないか
● 動悸はないか

これらの症状は乗務前の点呼時だけでなく、運転者自身が常に確認する習慣を身につける必要があります。

4-2.高所作業

高所作業中に高血圧によるめまいやふらつきが現れると転落のリスクがあります。

就業制限の対象となる可能性がある作業場は以下の通りです。

● 2メートル以上の足場
● 脚立
● 移動式足場
● 高所作業車

これらの高所作業については、産業医や医師の意見を踏まえて就業制限を検討する必要があります。

4-3.夜勤業務

夜勤業務は高血圧の悪化や合併症のリスクを高めます。夜勤により高血圧が悪化するメカニズムは明らかにされていませんが、サーカディアンリズムが関係すると考えられています。

サーカディアンリズム(概日リズム)とは、約24時間周期で変動する睡眠・覚醒やホルモンなどの生理現象のことです。このリズムが夜勤により乱されることが、高血圧の誘因になると考えられています。

実際に日勤者では5.4%であったのに対し、夜勤者では9.7%の割合で高血圧を示す者が多かったとの報告もあります。産業医や医師から、従業員の健康・安全に悪影響を与える可能性があるとの意見があった場合は、夜勤制限を検討しなければなりません。

出典:交代制勤務が血圧と血清脂質に及ぼす影響|臨床環境医学

4-4.重量物を取り扱う業務

重量物を取り扱う業務は、急激な血圧の上昇により事故につながるおそれがあります。

以下のようなメカニズムでめまいやふらつきが現れ、転倒するリスクが発生するためです。

1. 重い物を持ち上げる際に血圧が上昇する
2. そのまま立ち上がったときに血圧が低下してめまいやふらつきが現れる

高血圧の方は正常血圧の方と比較して、重量物の積み上げ作業時の血圧変動幅が大きいとの報告もあります。

5.高血圧の所見がある方に再受診を促すポイント

高血圧の所見がある方に再受診を促す主なポイントは以下の通りです。

ポイント

詳細

1.産業医や保健師による説明

専門的な視点から再受診の必要性を説明してもらう

2.受診しやすい環境の整備

再受診しやすいように就労環境を調整する

3.受診費用の補助制度

金銭面の負担を軽減する

再検査を受けて適切な治療を進めなければ、高血圧による合併症リスクは高まります。上司からも声をかけるなど、職場全体で再受診を促しましょう。

6.従業員の高血圧を管理する方法

従業員の高血圧を管理する主な方法は以下の通りです。

1. 産業医との連携
2. 職場環境の整備
3. オンライン診療の活用

それぞれについて詳しく解説します。

6-1.産業医との連携

従業員の高血圧を管理するためには、健康診断後に産業医の専門的な意見を聴取することが重要です。とくに高血圧により再受診の通知があった場合は、従業員の受診を促すために産業医との連携が欠かせません。

具体的な流れは以下の通りです。

1. 健康診断の結果を従業員へ通知後、企業側から再受診を勧奨する
2. 健康診断の結果を産業医に確認してもらい意見を聞く
3. 産業医の視点から評価をしてもらう
4. 産業医から従業員に再受診や生活習慣の改善について丁寧に指導してもらう

産業医は健康診断の結果にもとづいて、保健指導や就業制限の必要性を判断します。

6-2.職場環境の整備

従業員の高血圧を管理するためには、職場環境の整備が重要です。

とくに職場における血圧測定の推進は効果的です。

推進の流れ

詳細

1.測定環境の整備

・共有スペースに自動血圧計を設置する

・血圧測定ポスターや血圧値早見表を掲示する

2.従業員への周知

・朝礼や社内メールで周知する

・測定記録表を配布する

3.習慣化のサポート

・血圧測定を推進するスローガンを掲示する

・インセンティブ制度の導入を検討する

4.保健師や産業医との連携

・血圧が高めの方には保健師との面談や生活習慣の改善を促す

・要治療に該当する方に対しては産業医と連携して受診を促す

職場にいるときだけ血圧が高くなる「職場高血圧」という症状があります。職場高血圧と合併症進行の関係については明らかになっていませんが、年数回しか測定しない検診や病院での血圧測定より、職場での血圧測定が早期発見に役立つこともあります。職場高血圧が見られたら、家庭での血圧測定を推奨し、高血圧の診断につなげます。

6-3.オンライン診療の活用

従業員のなかには、定期通院を続けることが難しい方もいます。オンライン診療なら、パソコンやスマートフォンで診察を受けられるため、従業員の治療継続を支援できます。高血圧診断に必要な家庭血圧もインターネット経由で取得できます。

当社が提供する「高血圧イーメディカル」は、高血圧に特化したオンライン診療サービスです。

主な特徴は以下の通りです。

● 家庭血圧記録をアプリで行い医療チームと共有できる
● オンラインで診療が完結するため治療を続けやすい
● 処方された薬を自宅まで郵送できる
● 土日祝を含む6〜23時までの好きな時間に受診できる
● 脂質異常症や高尿酸血症(痛風)、花粉症にも対応できる
● 専用アプリから体調や病状について専門チームに相談できる

高血圧は症状が現れる前に治療を始めることが重要です。イーメディカルを従業員の健康管理に役立ててください。

 

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7.高血圧の就業制限に関するよくある質問

高血圧の就業制限に関して以下のような疑問はありませんか。

1. 産業医の就業制限に強制力はある?
2. 従業員が就業制限を拒否した場合はどうすれば良い?

それぞれについて解説します。

7-1.産業医の就業制限に強制力はある?

産業医が作成する意見書に法的な強制力はありません。産業医の意見を参考に、最終的な就業制限の判断は企業側で決定します。

7-2.従業員が就業制限を拒否した場合はどうすれば良い?

産業医や保健師から医学的根拠を示した上で丁寧に説明することが大切です。従業員が就業制限を拒否した場合、多くは産業医の説得により解決しているとの報告もあります。

8.定期受診が難しい場合はオンライン診療を活用しよう

高血圧の就業制限には法的な一律基準はありません。医師や産業医が血圧値、業務内容、心臓や脳の病気の発症リスクを総合的に判断して決定します。

高血圧は初期段階ではほとんど自覚症状がありません。頭痛や肩こり、めまい、ふらつきが現れている場合は、すでに臓器が傷み始めている可能性があります。

めまいやふらつきは、運転業務や高所作業において交通事故や転落事故につながる危険性があります。症状の有無にかかわらず早期から治療を開始することが重要です。

従業員の高血圧を適切に管理するには、産業医との連携や職場環境の整備が欠かせません。また、治療継続率を高める方法として、当社のオンライン診療サービス「高血圧イーメディカル」の活用も選択肢の一つです。

スマートフォンで診療が完結するため、忙しい従業員でも治療を続けやすい特徴があります。従業員の健康促進の取り組みを始めたい企業様はぜひご検討してください。

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